【暮らしの中の家具】理想の暮らしは椅子選びから?間取りを使い徹底解説~暮らしを豊かにする家具選び(FILT.さん)
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日々の暮らしの中で欠かせないもの、大切な家具から雑貨、お花、珈琲なんて方もいるかと思います。
家具を買うときに、材質の種類やメンテナンス、塗装の特徴と言ったことや、お花屋さんに寄った際に、季節の花や活け方、日持ちするの?なんて、値段に差こそあれど、ちょっと知ってるだけで選択肢が広がることが沢山あると思ってます。
そう言った、ちょっと知ってると暮らしに広がりが出る、そんな「へ〜、なるほど〜、そうだったんだ!」と思ってもらえるようなコラムを「暮らしの中の◯◯」シリーズとしてお届けしていきます。
「暮らしの中の〇〇」シリーズはこちらからご覧いただけます。
暮らしにフィットするコーディネート
執筆者:FILT.さん
みなさんこんにちは。FILT.の反端です。
「椅子が暮らしを作る」ことをお話した前回のコラムを踏まえて、今回はダイニングのコーディネートをする際に大切なこと、注意する点をお話ししていきたいと思います。
前回のおさらい~3つのチェア
前回お話したダイニングチェアの選び方は、今回お話するダイニングのコーディネートに深く関係することなので、簡単におさらいをしたいと思います。
目指す暮らし方によって選ぶダイニングチェアは変わるということで、次の3つのチェアを例にあげてご紹介いたしました。
- 背筋の伸びるようなJ39チェアは「姿勢良くご飯を食べたい、勉強をしたい」
- PP68チェアは「ゆっくりすごしたり、姿勢良くも座れる」万能なチェア
- hiroshimaチェアは「カフェのようにゆっくり過ごす。晩酌を楽しむ。」ゆったりスタイルを作るチェア
でも上記の方法で椅子を選んでしまったら、好みのインテリアの印象にならない・・・という方もいらっしゃると思います。そういった方の家具選びのヒントになればと思い、次の項では椅子がインテリアに与える印象についてお話ししたいと思います。
椅子がインテリアにあたえる印象
インテリア全体の印象を大きく決めるのはやはり「ダイニングチェア」。「またか」と思われるかもしれません(笑)が、それだけダイニングチェア選びがインテリアにとって大事なのです。
多くの方がインテリアのコーディネートをする際にダイニングテーブルやソファなどの面積の大きいものから決めます。もちろん、間取りの中の「サイズ感」に関してはとても大切ですが、私が普段、接客の中でご提案する家具を決める順番は真逆です。
つまり、部屋の「印象」を決めることに関してはダイニングチェアの方が大切と考えています。そして、ダイニングチェアを先に決めるとその他の家具も決めやすいのです。どういうことか、わかりやすく写真付きでお話していきますね。
同じテーブルに様々なチェアを合わせてみる
テーパー脚のシンプルな4本脚のテーブルに椅子を色々とかえて、合わせていきます。
このテーブルにはナチュラルな椅子を合わせるのがイメージしやすいですね。とても優しい印象の空間を作ることができます。
これをスチール脚の椅子に変えるとスタイリッシュな印象に。
同じスチール脚の椅子でも座面の色を濃い色に変えるとより引き締まった印象に。
ここは大きなポイントで、お気に入りの椅子を見つけたら、その椅子の仕様や色を変えるだけでインテリアの印象をガラッと変えることができます。
さらに、黒い椅子にするとモダンな印象に。
どうでしょう。同じテーブルでも全く印象が変わってきませんか。意外と椅子はデザインに差があり、椅子のデザインや色を選ぶことで好みの空間作りがしやすいんですよ。
同じチェアを使ってみる
さらに深く掘り下げていきます。
次に「同じチェア」hiroshimaスタッキングチェアにスポットを当ててお話ししていきます。ここからはFILT.の納品事例をもとに写真を見ていきます。
座面を優しい色にするとスタイリッシュで綺麗な印象になります。
座面に濃い茶色のレザーを貼ってヴィンテージ家具と合わせると、また雰囲気が変わります。
次に脚の色や座面等全て黒にすると重厚感のあるモダンな印象になって、同じ椅子でもこんなに印象を変えられます。
実は、テーブルよりテーブルに合わせる複数の椅子の方がインテリアの印象を変える力があるのです。(もちろん、インテリアの印象を変える力のあるテーブルもたくさんあります)
度々お伝えしているように、椅子は暮らし方を作る力がある、毎日何より触れるものだから、何より椅子を優先してほしいのです。そういう思いで、接客の中で椅子選びを一番最初にしていただいています。
椅子選びと間取り
椅子選びでは間取りとの関係性がとても大切です。
J39チェアなどスッキリしたデザインのものはテーブルから背もたれの後ろ側まで約20㎝のスペースを取ります。
それがhiroshimaチェアになると約60㎝必要になります。
どうでしょうか。びっくりするくらい差が出ますが、更に座る際には椅子を引きますからその場合に必要なスペースは約75cmになります。
この差にどういう意味があるかというと、hiroshima等のゆったりしたアームチェアは置ける空間が限られてしまうということです。これをよくあるコーディネートの事案でご紹介していきます。
例えば、下の図のような間取りがあります。
(デザイン協力:KERUN design offis)
下記のようなご要望をお持ちのお客様がいらっしゃったとします。
◯ご要望
- 3人家族で、3人がけのソファを置きたい
- ダイニングテーブルは4人が座れるようにしたい
- キッチン本体のダイニング側には収納があるのでテーブルはくっつけられない
上の図面をみていると余裕があるようにみえるのですが、ここにhiroshima チェアを置こうとするとこのようになります。
(デザイン協力:KERUN design offis)
テーブルの右手は、hiroshimaチェアに人が座るとほかの人が通れなくなります。左手はキッチンのダイニング側の収納が使えない上に、アームがあるチェアなのに後ろに引くことができず、そもそも座ることすら大変になってしまいます。
こうなると動線を確保するために、強制的にJ39チェアのようなスッキリしたデザインを選ぶことになってしまいます。
(デザイン協力:KERUN design offis)
「ダイニングで晩酌をアームチェアで楽しみたい!」という夢があったとしたら、家具を選ぶ順番を間違えただけでその夢が潰えてしまうという恐ろしいことに・・・
同じ間取りでも、例えばキッチン本体のダイニング側の収納がなければ、テーブルの向きを変えるだけでhiroshima チェアを置くことが可能になります。
(デザイン協力:KERUN design offis)
テーブルを決める前でしたら、テーブルの形やデザインを工夫するだけでも変わってきます。また、ソファも考えてから決めれば・・・と可能性は色々とあるのです。
冒頭で書いた通り椅子から家具選びを始めていれば間違いは起こりません。
「暮らしを作る」のが椅子なのに、間取りやテーブル、ソファが決まってからだと「こういう暮らしがしたいからこの椅子を」と選んだ時に、間取りやテーブルと合わなければその「暮らし方」ができないということになってしまいます。
そんな妥協を作らないためにも椅子から選ぶことが大事なんですよね。
家具や間取りの理想の決め方は以下の流れです。
1.椅子を決める
2.テーブルを決める
3.気に入ったダイニングセットで動線の取れる間取りを作る
4.リビングの家具を選ぶ
家を建てる時、マンションを購入する時、引っ越す時。きっと家具を先に決めよう!なんて方はほんのごく僅かだと思います。ただ、新しい家で暮らしをつくるのは床でも壁でもなく、家具だと私は思います。
ですから、もしこれから家を建てられたり、お引越しを考えられているかたは、是非、そこでどんな暮らしをしたいかイメージすることから始めてください。
どんな風にくつろいでいるか、どんな風に家族団欒の絵が浮かぶか。きっとそこには家具があるはずです。家具からお引越しを考えると理想の家づくりができますよ!
さて、いかがでしたでしょうか?インテリアショップをやっているので、だいぶ家具贔屓に見えますでしょうか(笑)
次回以降も家具の魅力を大いにお伝えしていきます。とてもコアな内容になるかと思いますが、是非お楽しみにしていてくださいね。最後まで読んでいただきありがとうございました。
家具(椅子)への情熱が伝わってくる熱いコラムでしたね!前回と同じく図を使った説明は大変わかり易く、なるほどなと思いました。
同じテーブルを使って、椅子だけをいろいろと変えてみたり、同じ椅子のカラーだけを変えてみたり、写真を沢山撮ってくださっているので、わかりやすいだけではなく見ていて楽しいですよね。
写真を見比べることで「あれ、こっちよりこっちのほうが好きかも?」と発見があった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
コラムを読みながら我が家がダイニングに選んだ椅子のことを考えました。とても気に入ってはいるのですが、FILT.さんのお話を聞いた後で家具選びをしたら、また今とは違ったチョイスになる可能性もあったかもしれないと思いました。
家具を選ぶのって楽しいですよね。今から椅子選びができる方が羨ましいです(笑)
次回のコラムのコアな内容もとても楽しみです。FILT.さん、ありがとうございました!
(編集:kaori)
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