【暮らしの中の家具】実践!意外と簡単、ソープ仕上げをしてみよう〜良い家具を永く大切に使う方法(FILT.さん)
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日々の暮らしの中で欠かせないもの、大切な家具から雑貨、お花、珈琲なんて方もいるかと思います。
家具を買うときに、材質の種類やメンテナンス、塗装の特徴と言ったことや、お花屋さんに寄った際に、季節の花や活け方、日持ちするの?なんて、値段に差こそあれど、ちょっと知ってるだけで選択肢が広がることが沢山あると思ってます。
そう言った、ちょっと知ってると暮らしに広がりが出る、そんな「へ〜、なるほど〜、そうだったんだ!」と思ってもらえるようなコラムを「暮らしの中の◯◯」シリーズとしてお届けしていきます。
「暮らしの中の〇〇」シリーズはこちらからご覧いただけます。
身近にある材料で気軽にできるソープ仕上げ
執筆者:FILT.さん
こんにちは、FILT.の反端です。
家具の経年変化と仕上げについてお話した前回のコラムに続きまして、今回は家具の「ソープ仕上げのお手入れの仕方」を写真でお伝えしていきます。
私自身はソープ仕上げの家具が大好きです。なぜなら、ソープ仕上げの家具は最も木の質感を感じることができ、最も変化していく仕上げではないかと思うからです。
直に天然木の質感を感じられるということが利点ですが、裏を返せば塗膜がないので、木にこぼした飲み物はシミになりますし、手垢等でどんどん汚れていきます。ソープ仕上げのお手入れでは、そういった日常生活の中で着く汚れをきれいにすることができます。
最近ではSNSで多くの方が北欧家具を購入されているのを見かけますし、数年前より一般の方に浸透しているのを実感します。一般的に広がってきた北欧家具、憧れてご購入される方も多いと思います。
ところで、お手入れはしっかりされているでしょうか。
憧れて購入して、おそらく多くの方が初めてソープ仕上げの家具を手にされると思いますが、北欧の家具が美しく経年変化していくには、正しくお手入れをし続ける必要があります。
すでにソープ仕上げの家具を持ってらっしゃる方はもちろん、これから購入を検討されている方も、それほど難しいことではありません。お手入れできるか心配で踏みとどまっている方は今回のコラムが後押しになりましたら幸いです。
それでは、反端流ソープ仕上げを順を追って解説付きでご紹介いたします。
※このやり方は長年自分でお手入れを続けて、多くの費用をかけずに簡単にできる方法を反端自身が見つけたもので、メーカーの推奨するものではありません。必ず各メーカーの推奨する正しい方法を確認し実践してください。本コラムの仕上げ方法はあくまで「参考」にしていただけましたら幸いです。
ソープ仕上げの方法
◯用意するもの
ボウル / 紙やすり#240 #400 / スポンジ / 歯ブラシ / 無添加石鹸 / 洗顔ネット / 雑巾(タオル)2枚
必要な物の多くが百均で手に入ります。紙やすり等はホームセンターに売っています。
今回お手入れするのは、1年ほど放ったらかしにしたこちらの椅子です。
1.始める前にどうしても気になる傷があれば紙やすりで削る
脚に気になる傷がありました。これを紙やすりで削っていきます。
木目の向きに沿って削るのが基本です。擦る向きが木目に逆らうと、こすった傷が目立ちます。
今回はきれいに傷がなくなりました。
紙やすりは240番、400番等番号があります。数字が大きいほど目が細かく、ムラになる心配が少ないので、400番以上がオススメです。
2.無添加石鹸を泡立てる
ボウルに水またはぬるま湯をはり、そこで泡だてます。
写真ではFILT.で販売している石鹸を使っていますが、固形石鹸の“無添加”のものでかまいません。洗顔用の泡立てネットを使うと、素早くきめ細かい泡が立つのでお勧めです。
3.泡を家具に乗せていく
泡だてた泡を塗り込むようなイメージでスポンジでたっぷり乗せていきます。座面にかかるのが心配でしたらタオル等で守ってください。
脚もしっかり、貫もしっかり、裏側等もムラがないように全体にしっかり塗り込んでいきます。染み等が気になる部分があれば少し強めに塗り込めば、簡単に取れます。
4.タオル(雑巾)で拭き取る
泡を拭き取ると、結構効果があることを実感できます。
5.自然乾燥
風通しの良い日陰で自然乾燥させます。
次の写真の、上が5分経過したもので、下が15分経過したものです。
30分〜1時間くらいでほとんど乾きますので、乾燥しきったら次の段階へ進みます。
6.質感を確かめる
触ってみることはとても大事で、木は濡らすと毛羽立ちますので、ザラッとした質感になってしまいます。そういった木の特性を理解する上で、とても大切です。
7.紙やすりで削る
石鹸を塗る時同様、全体を細かくしっかり削ってください。必死に削るというより、表面を撫でてあげるイメージで、毛羽立った木目をならしてあげる作業です。1番同様に「木目に沿ってやする」のがポイントです。
8.木屑をはらって乾拭きする
ヤスリで削ったら、今度はその時に出た木屑を払います。歯ブラシで細かい木目の間に入った木屑を払ったり、乾拭きで全体を拭き取って、これで完了です。
見違えるようにきれいになりました。
同時期に購入したお手入れ前のものと並べると、一目瞭然です。
ペーパーコードのお手入れ
番外編でペーパーコードの座面についても、少しお話したいと思います。
たまたまよく見たら赤い汚れがありました。紅生姜か何かでしょうか(笑)
ペーパーコードも石鹸で洗ってしまって大丈夫です。ムラになるのが心配でしたら、全体に泡を乗せて、思いっきり水で流して大丈夫です!
よく、ペーパーコードはお手入れが大変そうと言われますが、洗えるので、お手入れの観点から見ると布やレザーの座面より個人的にはオススメしています。
家具を素敵に育てるために
今回はわかりやすくするために、細かく書きましたが、大きな作業としては 「泡で洗って拭き取る」だけで、人で言うところの洗顔とそれほど変わらないんです。
インテリアショップで接客をしていると「お手入れが不安で」と「汚れない仕上げ」を選ばれる方も多くいらっしゃいますが、そういった家具は「何かあったら」お手入れができないリスクがあります。
普段から、こうやってお手入れをしていれば、何かあっても汚れをご自分で落とせるようになります。そのため気軽にお手入れしていただけるように、百均等で揃えられる身近なものを使った方法をご紹介いたしました。
ソープ仕上げを選べる家具は高価なものが多いです。頑張って買ったからと小さなお子さんがいらっしゃる方等に、「汚さないように」と注意しながら使うより、「汚れてもお手入れできる」と思いながら、ストレスフリーにいい家具と付き合っていっていただければと思います。
そして、「傷も直せる」、「汚れも取れる」と書きましたが、本来であれば神経質になりすぎず、そういったものも “味”と捉え、変化を楽しめるのが一番です。特に、経年変化が進んだ後で汚れた部分を削りすぎると、そこだけ色が明るくなってしまいますので、お手入れしていく中でいい塩梅をみつけてください。2〜3回もお手入れをすれば随分コツもわかってきます。
途中で触ることが大事と書きましたが、「木は濡れると毛羽立つ」「ヤスリで直せる」等、木の家具の特性を理解して付き合っていくことでより大切に思って、メンテナンスしながら長く使うことにつながります。
そういった意味でもソープ仕上げは非常にオススメで、お手入れしていく中でそれぞれの味が出たものになっていきます。本当に愛着がわきますよ。
良い家具と出会ったら、その家具とこれから何十年も一緒に過ごすことになります。是非、ご自身に合った良い方法を見つけ、知識を深めながらどんどん素敵に育ててくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回のコラムも深くとっても興味深い内容でした。家具のソープ仕上げが、家にある物で気軽にできるとは知りませんでした!
そしてペーパーコードついても、汚し屋がいる我が家では、もしそれを買ったら目を光らせながら生活することになると思い、初めから選択肢に入れませんでした。ペーパーコードが洗えると知っていたら、わたしの椅子選びが変わったのではないかと思います。
せっけんを使って洗うって、それだけで気持ちがいいですよね。仕上がった整った木肌を見たら満足感に包まれること間違いなしです。FILT.さんの家具を永く大切に使ってもらいたいというお気持ちが伝わってきました。
FILT.さん、今回もありがとうございました♩
(編集:kaori)
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