黒く囲まれたおうちに「風通しの良いピロティ」と「非日常な中庭」がお出迎え〜仲間とつくった家づくり。nakaken.0210さんのおうちを探索!(前編)
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あたたかい日差しに、柔らかく心地よい風。
先日まで満開だった桜も散り始め新緑の季節を迎えました。お庭で遊んだり、おうちピクニックをしたり。縁側があればのんびりお茶をするのもいい頃合いです。
色々なお庭やテラスを眺めていたところ、ふと目に止まったのがnakaken.0210さんのご自宅。
四方を囲んだテラスがあれば、1階には無垢材で囲まれたピロティまでも。あぁ、これからの季節に理想的な住まいがここにある。そう思いながら素敵なインテリアに手が止まらず、気がついたらお話を伺いたい!と連絡をしていました。
工務店を経営するご主人と、その近しい仲間とつくったおうちは、インテリアだけでなく、外構や外観にまで統一されたデザインが隠されていました。
前編・後編の二部構成にてお届けしていきます。
開放感を保ち、プライバシーを守る、わたしの理想の家
nakaken.0210さん
我が家は小さい規模ながら工務店を経営しており、夫は大工職人でもあります。
この家はもともとお付き合いのあった設計事務所さんが設計を担当し、夫が大工として作り、また夫の双子の弟が庭師として外構周りを担いました。まさに近しい仲間同士でつくったおうちです。
家づくりのテーマは二つありました。
「プライベートなリゾート空間」
「開放感を保ちながらプライバシーを守る家」
住宅密集地でしたので、LDKを2階に配置しプライバシーを確保しつつ、人目を気にしないつくり、ゆったりと外を眺められるリゾート感の演出に拘りました。
どっしりと構えた外観と風通しの良い空間。夫と一緒につくりあげたマイホーム。我が家を訪れた気持ちになってご覧いただければ嬉しいです。
どっしりと、落ち着いた外観
正方形の土地いっぱいに家が斜めに建ち、上から見ると五角形の形をしています。
外観は、パールブラックのガルバで横張りと斜め張りをミックスした施工と、正面に米ヒバを格子状に加工してオスモカラーで黒に塗装したものを取り付けました。
開放的なピロティ
パッと見我が家は「黒い箱」。
プライベート空間を実現するために窓も少なく、重厚感が伝わるつくりです。
ただ敷地に一歩足を踏み入れると雰囲気はガラッと変わります。
石田畳を進むとガルバで囲まれた外観とは正反対に、中庭まで続く開放感あるピロティが来客を迎えてくれます。ピロティは堀りごたつ仕立てのウッドデッキや、杉板を黒に塗装した主人の造作テーブルがあります。
友人とバーベキューを楽しんだり、こども達が友達同士お話をしたり、主人の仕事の打ち合わせに使ったりと人が交わる空間。木材をたっぷりと使用したあたたかみのある場所になりました。
ウッドデッキに使用した木材は、浮造りした杉板を木材防護保持剤であるウッドロングエコで塗装したもの。また白に塗装した天井の杉板は、一階にある事務所の中と玄関ホールの中まで繋がりを持たせるために続いています。
向かって右側には夫の事務所があります。天井の繋がりに加え、ガラス張りにしたことで抜け感をより演出できました。
反対側には来客用と家族用の玄関が二つあります。
写真左側が来客用の玄関で、杉板を黒に塗装したドアを開けるとガラス張りの空間になっていて、外を眺めながら階段を登ってリビングへと向かいます。
右側は家族用でYKKのスマートドアを開けるとガレージと一体化した空間になっています。
奥にはビルトインガレージと左手にシューズクローク。その奥にある扉を開けると来客用の玄関と合流し、2階へと向かう動線になっています。
家族用はお客さんにも見られないので多少汚れていても気になりません。ビルトインガレージも雨の日も濡れずに荷物の持ち運びや移動ができてとても便利です。また、クローク足元には明り採りの窓があり、暗くならないような工夫を施しました。
窓は少ないですが、室内窓やちょっとした空間を活用して外の光を取り入れる設計がなされていて、我が家の特徴の一つかなと思います。
非日常を味わえる中庭
先述したとおり、外構は庭師でもある夫の弟に依頼しました。
住宅地にありながらこの中庭だけは全く別空間。日差しが入る日中はどこかリゾートのような気持ちのあがる場所。夜にはライトで照らされた木々と石田畳が癒しを与えてくれる場所。季節でも変わる中庭にくると、日常と切り離された気持ちになります。
シンボルツリーであるアオダモは夫が大好きで最初から植えると決めていたもので、2階リビングから眺められるようなサイズのものをお願いしました。
余談ですが、事務所の並びにあるドアは男性用のお手洗いです。ピロティでバーベキューをしてお酒を飲んだ時にすぐに使えるようにと、夫の拘りだそうです(笑)
手洗いはサンワカンパニーアンゴロフラット。トイレはパナソニック製で、照明は知人からいただいたものです。
我が家の顔とも言えるピロティ。
壁は素材とカラーで変化をつけ、奥行きのある外部空間ができあがりました。
プライベートな空間へと導く階段
2階へと続く階段はガラス張り。
籠り感のあるピロティからひとときだけ外の気配を感じ、そしてプライベート空間である2階へ向かう。この階段で外構の植栽や外の様子を伺えることでメリハリが生まれ、2階の特別感が増します。
階段の踏み板は浮造りした杉板を、和風になりすぎないようにクリアに白を混ぜてオスモ塗装したもの。滑り止めもかねて浮造りにしたのですが、裸足で歩くと無垢の温かみを感じます。
また壁はクロスではなく質感や色ムラを楽しめるポーターズペイントにしました(リビングの天井もポーターズペイント)
このポーターズペイントの壁にマットな手すり。シンプルで質感を感じるとてもお気に入りの場所。大工の夫の手伝いにと階段含め塗装したのも今では良い思い出です。
天井は米松の垂木を使用しており、天井の奥行きを出すためにルーバー状にしました。
わかりづらいですが、火災報知器も黒に塗装するほど細部まで拘った場所。階段を登っていくと目線の先にこの天井が目に入ってくる設計。来客時にはリビングに入る前には必ず話題になります。
そしてこの廊下。
足元にFIX窓3つ、引き違い窓2つの連結窓が並びますが、明り採りの意味合いの他に、夜になると階段のライトが外壁の格子の隙間に映し出される設計になっていて、とても幻想的です。室内の照明にも拘りましたが、室内の灯りが外観をいかすところまでデザインしました。
いよいよ2階リビングへと続いていくわけですが、その前に我が家の間取りをおさらいいたします。
1階には来客用の玄関とビルトインガレージを併設した家族用の玄関。加えて、夫の事務所とこども部屋が二部屋あります。この廊下の先には事務所とこども部屋へ行けるもう一つの階段があります。
この階段、私は普段使う頻度は少ないですが、こちらも外観上意味を持っていて、我が家を正面から見ると2階へと続く二つの階段がバランスよく配置されています。
格子とガルバで覆われた2階は外から様子を伺うことはできませんので、この階段が2階部分をより特別な空間へと想起させる役割も担っていたり。
続いて生活動線をぎゅっと詰め込んだ、デザインだけではない使い勝手も良い2階をご紹介していきます。
(つづく)
いや〜一言、羨ましい!です(笑)
あまりの美しさに”もはや作品ですね”とnakakenさんとお話しましたが、もちろんご主人さまを中心に近しい仲間で作り上げた作品といった側面もありつつも、家事動線や暮らしの面でも考えられた設計にも拘りが詰まっているそうです。
次回ご紹介する2階テラスは日差したっぷりで気持ちよく、1階ピロティは日陰で風通しもよく、これまた気持ちいい。どこにいても快適な暮らしを目指した家づくりが感じられますね。
2階のプライベート空間にはどんな拘りが詰まっているのか楽しみですね。
(編集:編集長)
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