「思わず足を止め、引きこまれる隠れ家」好きと暮らしやすさを備えた二つのテーマ。sen__caさんのおうちを探索!
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ダイニングから映るキッチンとパントリーと廊下。なんて贅沢な空間だろうと、一目惚れ。
最近では廊下部分を減らしLDKや収納にあてる間取りが増えてきている中、玄関からダイニングへと続くその廊下はシンプルで無理がなく、どこか落ち着ける場所へと誘う姿に、これはコダワリをお聞きしたいとsen__caさんにお声がけしました。
家づくりに隠された二つのテーマと、家がもたらした暮らしの変化についてもご紹介していきます。
“家らしくない家”夫婦の理想への道のり
sen_caさん
私たちは夫婦は築30年の平屋に住んでいました。三姉妹のこどもにも恵まれ、成長とともに家も手狭に感じ始めたころ大きな転機が訪れました。それは震災です。
幸い我が家は一部損壊程度で済みましたが、周囲の状況、家族の将来を考えて本格的に家づくり(建て直し)を始めました。
夫婦揃ってインテリアに興味を持っていたこともあり、建て直し自体は震災前から考え色々情報収集をしたり、”こんな家にしたいね”と理想の家づくりをよく話ていました。それもあって、住宅展示場や完成見学会に行った際にも、どれが好みの工務店なのかはっきりしていたのを覚えています。
工務店に求めた条件はシンプルに二つ。
・注文住宅で自由設計、私たちの希望を尊重してくれること
・施工事例の雰囲気が理想に近いこと
結果、自分たちの理想の家づくりは「ここ以外ありえない!」そう思える工務店さんに出会え、順調にスタートしました。
玄関から伝わる我が家のテーマ
家づくりは「隠れ家的カフェ&ギャラリー」をテーマにスタートしました。
思わず立ち止まりたくなるような外観、扉の先には何があるのかわからないちょっとしたワクワク感、そして入った先には夫婦の”好き”が詰まったインテリア。心地よい住まいなんだけれども、”家らしくない家”を目指しました。
中でも玄関はこだわりの一つです。
よく「家の顔」と言われますが、家の前に来た時に、パッと見て我が家のテーマを感じていただけるかを考えました。
当時、お洒落なカフェの外観画像を集めては設計士さんに伝え、色々な案の中から最終的に真っ白な壁に淡いブルーのドア、金のドアノブ、グレーのタイルといった組み合わせになりました。
シューズクローク、傘立てなど一切置かずスッキリした玄関。正面には大きいFIX窓を設け、圧迫感を減らしつつ、明るい日差しがお客様をお出迎えします。
タイルは外のアプローチと同じモノを採用し、高さも同じにすることで内外がひと繋がりのようなデザインです。
玄関のドアは造作で、建具屋さんにスチール素材でつくっていただきました。重たいドアですが雰囲気重視で採用し、金のドアノブもメッキがいい具合に掠れてきて味が出てきました。
玄関のタイルはサンワカンパニー、壁はそとん壁で仕上げ、両サイドはガルバリウムです。玄関ドアの雰囲気でその家の外観がおおよそ決まると思っていたのでとても満足しています。
背丈のある植栽と石田畳、そしてこの玄関。バランスを大切にしたがゆえに、表札もインターホンも壁にはつけませんでした。
ちなみにインターホンは植栽と一緒にこちらへ。
玄関を入った照明にもこだわりまして、柔らかい灯りが夜仕事から帰ると真っ先に癒しを与えてくれます。ひょっとすると玄関が一番好きな場所かもしれません。
隠れた我が家の裏テーマ
「すっきり片付けやすい」も一つのテーマとして設計に取り入れました。
三姉妹のこどもに器や食器、雑誌などモノが多くなりがちな我が家。片付けやすい、またすっきり見せる工夫を間取りや動線にも取り入れました。その一つが裏玄関です。
ここは家族専用で、メイン玄関とは別の場所にあるため、他の方が間違ってこちら側にたどり着くことはありません。玄関を二つにわけたのは大正解で、メイン側は常にすっきり綺麗な状態を保てます。
この玄関を開けると、正面にシューズクロークがあり、その奥にダイニング、キッチンと続きます。後述しますが、こども部屋はダイニングに面しているので、この位置はこども達も外へとアクセスしやすいんです。
こちらも表札もインターホンのないシンプルな玄関ですが、同じようなライフスタイルの方にオススメです。
二つの空間を繋ぐ我が家の顔
玄関を入るとリビングとダイニング・キッチンへと別れています。
リビングとダイニングをわけることは設計段階から決めていました。パブリックとプライベートな空間をわけようと考え、パントリーと階段を挟んでリビングをパブリックな空間に、ダイニング・キッチンをプライベートな空間へとする間取りを採用しました。
そしてその二つの空間を繋ぐ欠かせない場所、それが我が家の廊下です。
決して長い廊下ではありませんが、限られた土地で建てる平屋においてとても贅沢な空間だと思います。
ダイニングへと続くFIX窓は、W9000*H600のLow-Eガラスで造作したものです。設計当初は一枚ガラスをご提案いただきましたが、予算上断念しました。取付位置にもこだわって、ダイニングチェアに座った時に外のグリーンが視界に入る高さにしました。
窓際にはフラワーベースを飾れる奥行きがあり、季節の花を飾るのが楽しみの一つです。
また反対側には本棚を設け、主に主人の好きな書籍や雑誌を飾っています。スペースはありますが、なるべくシンプルに、余白を大切にした場所です。
夜は廊下の灯りをつければ本棚がライトアップされるようになり、まるでギャラリーのような空間に。
シンプルに余計なモノは要らない
ダイニングとキッチンは、テーブルと椅子、キッチン以外に大きな家具はなく、極力シンプルに。
床材はウォルナットの無垢材で節あり。モダンな落ち着いた雰囲気をイメージしていたので、キッチンは最初からオールステンレスでシックなモノと決めて、色々検討した結果トーヨーキッチンを採用しました。
脚元がすっきりしたエアーフロー 、重厚感あるステンレス(面材はソリッド)とデザインも大好きですが、大きなシンクに広々したワークトップ、使いやすくて疲れない、お掃除やお手入れも楽な機能面も決め手となりました。
苦手だった料理や片付けも本当に快適に作業できるようになり、キッチンが大好きな居場所になりました。またアイランドキッチンにしたことで家事動線も格段によくなったように思います。
キッチン背後には大きめのパントリーを。
余計な家具を置きたくなかったので「食器も収納できる大容量のパントリー」を希望したところ、一坪のコの字型パントリーになりました。
内部は、2.4メートルの天井高に4段の棚板が3方向に取り付けてあり、そこに全てのキッチン家電や米びつ、食器、ダストボックス等を綺麗に収納しています。
セミオープンで「見せる収納」のようになっていますが、これが思った以上に便利で使い勝手が良いです。
入口に扉を設けていないので、行き来しやすく必要なものがサッと取り出せてかなりの時短に繋がっています。
そして飾り棚とグレーの壁もこだわりポイント。
これも設計段階から私が熱望していた場所。
グレー壁は由布珪藻土で塗ってもらい、棚板の高さや大きさも私が自分で決めました。この棚は私専用のギャラリーのようで、日々好きなモノを飾り家事のモチベーションをあげています。
キッチンを中心に後ろには秘密基地のようなパントリー。右手にはFIX窓から植栽を眺めながら、ダイニングで家族が過ごす様子。左手には三姉妹それぞれの部屋がある。
もちろん後ろからは洗面、リビングからの声も聞こえ、家族の気配を感じられるのはこの間取りの魅力です。
ちなみに、こども部屋はKAMIYAのハイドアを採用。ケンカにならないよう三部屋とも同じ広さ、同じ間取りにしました。
ダイニングは7畳ほどのスペース。圧迫感なく家族と来客も座りやすいようにソファベンチを採用しました。カフェでゆったり過ごすようにのんびりしたり、こども達が学習したりと、活躍中です。
シンプルで使いやすい洗面室
三姉妹なので脱衣所と洗面所は別にする必要がありました。そして、家族5人分の洗濯物を干せる広さ、こども達が同時に身支度できる洗面台、細々したモノまでひとまとめにできる収納も。
洗面台はキッチンと統一してステンレスを希望し、デザインは工務店さんにほぼお任せ。タイルは夫が吟味し、鏡は洗面台と同じ幅のある大きいモノを採用。
鏡の裏はすべて収納になっていて洗面台もすっきり片付きます。参考までに洗面台の仕様は以下の通りです。
・幅:180cm
・混合栓:SANEI K4731NJV-13
・鏡:180cm造作ミラーキャビネット
・タイル:LIXIL IM-100P1BYA-4(グレー目地)
約2.5畳ほどの脱衣所には壁一面のリネン棚を造作で設置。
洗面用具からタオル、ストック類、身支度に必要なモノまで一箇所に集約できているので効率がいいです。
また脱衣所には勝手口があり、そこから外のウッドデッキの洗濯干し場へ出られます。身支度〜洗濯〜洗濯干し、収納まで最短動線で完了。これも我が家の裏テーマである片付けやすいを考えた間取りです。
ゆったり時間が流れるリビング
玄関入ってすぐにパブリックな空間としてリビングがあります。
これは先述したとおり、共働き夫婦に三姉妹の娘がいれば毎日散らかり放題です。急な来客時や、ゆっくりソファでくつろいだり考え事をしたい時に、リビングは独立した方が我が家にとってはいいだろうと考え、基本ダイニングで活動するスタイルにしました。
余計なモノはなく、ソファ、ローテーブルとテレビのみ。
南に面した窓からはたっぷりの日差しが降り注ぐとても気持ちの良いところ。またこども達が寝静まったあと、ソファに座りながらテレビを見たり雑誌を読んだりする時間は最高です。
テレビボードは造作。上部にはふかし壁があり、夜はまた違った雰囲気になります。
この家がもたらしたモノゴト
この家が私にもたらしたモノは、住み心地や安心・安全に加え、「暮らしを楽しむ」こと。
お花や植物はこの家ができてからますます好きになりました。庭に咲いた季節の花々を部屋にかざったり、ドライにしてリースにしたり。シンプルなインテリアに、色鮮やかな花がまた一層お洒落に彩ってくれます。
器もまたひとつ暮らしに変化をもたらしてくれます。日常の何気ない料理が器の力でお店のお料理にも勝るとも劣らないモノに変わる、そんな気がしています。
シンプルな器が好みで、竹口要さん、津村里佳さん、和田麻美子さんは特に好きな作家さんです。最近はで蚤の市に出かけ器を集めるのが趣味になりつつあります。
花も料理も、フラワーベースや器との組み合わせを考える時間が至福のとき。何気ない日常が楽しいひとときに変わるような気がします。
私たち夫婦が求めた二つのテーマ。
「カフェ&ギャラリーにような隠れ家」
「すっきり片付けやすい家」
ご紹介してきたとおり、とても納得感のある家づくりができ満足しています。
そして家は暮らし始めてからがスタートと日々感じています。
朝と夜で異なる外観、四季折々で変わる植物の様子、お花を飾るだけで様変わりするインテリア、飾り棚に飾るモノひとつで楽しめる暮らし。
これからもきっとこども成長やライフスタイルによって色々楽しみが待っていると思います。我が家とともに”そのモノゴト”を楽しんでいきたいと思います。
贅沢な空間は廊下だけでなく、全てでしたね(笑)本当にどこを切り取っても素敵でした。
余白の楽しみ方っていいなと思わせてくれますね。シンプルな廊下、窓の縁に何を飾ろうか。照明やライトだっていい、灯りひとつで家の雰囲気がガラッと変わる、そんな余白があるおうち。
単にスペースがあればいいのか?
そうではなくて、恐らくひとそれぞれ”心地よさ”って変わっていて、その心地よい空間に対する余白を設けるといいな、なんて「余白」への問いを編集しつつ考えていました。
我が家にとって余白とはなんなのか。ちょっと考えてみたくなりました。
(編集:編集長)
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