主役はそこに暮らす人!真っ白な内装に込めた想い〜kiko__502さんのリノベーションを探索!(後編)
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真っ白な壁とコンクリートの天井。シンプルと無機質の組み合わせの中に、無垢材をつかった家具や床の温もりをより一層感じるおうち。
前編ではリノベーションを選択した理由、ライフプランの考え方を軸に伺いました。後編では真っ白なワンルームに込めた想い、そしてプラン実行のためのコスト調整について詳しくご紹介。
そして複数の家を所有したり、手放したり、そんな自由な暮らし方。kikoさんがイメージする楽しい暮らし、とても刺激になるお話でした。ぜひお楽しみください。
◯前編「飽きない家づくり」人生3つの転機を控えた柔軟な暮らし方〜kiko__502さんのリノベーションを探索!
3つの転機に備えてコストを意識する
kikoさん
前編ではライフプランに応じて柔軟に暮らし方を変える私たちなりの考えについてご紹介しました。
仮に10〜20年スパンで住まいを移るとすると、大きめのコスト(ローン)はネックになります。そこで次のステージに向けて重要視したコストについてお話をしたいと思います。
“アレ”を無くすことからスタート
私たちはスケルトンリノベーションを選択しました。ゼロから設計・施工ができる反面、すべて好き放題に設計するすれば、一般的には10〜18万/㎡ほどコストがかかり、これを我が家に当てはめると800〜1,400万円かかる見通しに。
正直高い!10年で移り替える予定なのに、さすがに勿体無いと感じ、設計と併せてコスト調整も進めていきました。
結果重要だった3つの観点をお伝えしたいと思います。
1.「壁」をなくす設計
前編でもお伝えしましたが、今は家族が団子になって暮らす時期。壁のない広いワンルームでこどもや家族の気配を感じながらの設計にしました。壁がないのは、当然建具もありません。そして収納も多くはつくらなかった点がコストカットへ大きく影響しました。
加えて、空調設備にも拘りすぎなかったのもコストダウンに繋がったと思います。
2.できる限り施主支給
シンプルに工務店任せにしない、ということです。
当然他人経由で設置すると多少なりとも価格が上乗せされてきます。そこで、キッチン、フローリング、トイレ、ユニットバス、洗面ボウル、飾り棚の棚受けなど、可能な限り施主支給としました。
工務店も施主支給が可能なところを自分たちで探し、見積もりと施工範囲を検討した結果、おしゃれなリノベーション会社ではなく、リフォーム専門の工務店へ依頼しました。
3.素材も最後まで探し切る
水回りにタイルを使用していますが、デザインだけはブラさずに、単価の低いものを採用。無垢のフローリングも理想のものを探し出しました。
もちろん好みもあると思いますし、何を大切にするかは人それぞれですが、価格が高いものでなくてもデザイン・機能性を満たした良い素材はきっと見つかるはずです。
この3つがコストダウンに大きく寄与し、マンションの購入費とリノベ費用合わせても、周囲のマンションの4割ほどの価格で済みました。
大切な軸を忘れずに
コストカットの話ばかりですが、「コンクリートブロックの壁、無垢フローリング、モルタル床、鉄管配管、アイランドキッチン」これだけは多少費用が高くても絶対採用すると決めていました。
あくまでも自分たちの暮らし方、理想のデザインがあり、その中からコスト調整をしていく、といったことが必要になります。
空間は「人や物を際立たせる美しい背景」
リノベーションならではの内装として「躯体表し」があり、インテリアの特徴の一つになったりもします。
見せるために綺麗に整えられたコンクリート面ではなく、仕上げの中に隠れてしまった無骨な部分。そんな古いコンクリートが大好きな私たち。天井や壁をはがすまでどんな状態かドキドキしていましたが、姿を見せたコンクリートはとても好みの感じで安心したのを覚えています。
壁は型枠の縦ラインが均等なピッチに入っていて、面に凹凸がある。その壁をホワイトに塗りました。この表情豊かな壁は家族みんなお気に入りです。ある意味我が家のアクセント壁。この面が壁紙でのっぺりしていたらとても味気なかったと思います。
真っ白な壁に暮らしを表現する
空間は「人や物を際立たせる美しい背景」であるべきだと私は考えます。内装は主張せずにひっそりと裏方に徹する、そんな思考です。
先述してきたとおり隠す収納がないので、見せる収納に必然的になりますが、いつも好きなものに囲まれて生活を送れているので、居心地はとてもいいです。
またこどもの持ち物やおもちゃってカラフルで可愛いですよね。こどもの作品もいつでも全面に出していたいし、手で触れられるようにしたい。そして背景がシンプルだからこそ、その可愛らしさが引き立ち、置いているだけでも素敵に感じます。
これはこどもが小さい今だからこそ楽しめる最高のインテリアスパイスだと思っています。
こうして見ると、やはり暮らしの主役は家具や内装ではなく、そこにいる人なんです。こどもの成長につれてインテリアもどのように変化していくかとても楽しみです!
自由に組み合わせたLDK
広いワンルーム、壁がない中で空間の仕切りをどうするか考えていました。そこでキッチンを1段あげてステージのようにし、白のタイルを敷き詰めて変化をつくりました。
リノベーションではよくある話ですが、水回りの位置を変えると配管の関係上床をあげる必要があり、それをうまく活用しました。
家にいる間はキッチンに立つ時間が長い中、一段上げたことでちょうどお立ち台のようになって家全体が見渡しやすくなります。またオープンキッチンですが、1段上がっているのでシンクの中やコンロ周りなど手元が見えづらいのも良いところです。
最近は新築マンション含めバリアフリーのつくりが一般的ですが、住むのは若いうちだけ、と割り切れば一段水回りを上げることはメリットしか感じておりません。150~200mm程度の段差ですが、家族みんなこの段に腰掛けるのが好きです。こどもたちが腰掛けてコソコソ遊んでいるとほっこりします。
アイランドキッチンの前面は我が家にとっては大容量の収納。当初は食器を収納していましたが、現在はこどもの洋服を収納する場所になっています。LDKに面したこの場所は動線的にもこども服の収納にもってこいでした。
10人座れるダイニングテーブル
ダイニングテーブルは大きいものを置きたくて、天板とスチール脚をオーダーして自分たちで作りました。
長さ2.4mあるので、一度に10人着席することもできます。勉強している人、おやつを食べている人。それぞれが好きなことをしていても気にならない広さで気に入っています。
また夫婦ともに椅子が好きなので、昔から少しずつ集めて今は15脚ほど家にあります。あまり高級品には興味がなく、どこかに可愛さのあるデザインが好き。違うデザインの椅子でも、木・シルバー・白という共通点があるので、気分によって座る椅子を変えるのが毎日の楽しみです。
テレビボートは、ラワンシェルブスという棚を3つ並べています。リモコンはAmazonのFire TV Stickだけで足りるので、配線も気になりません。
壁掛けTVもすっきりとして魅力的ですが、TVの位置は家具の配置に影響を与えるので、なるべく自由に飽きた時に配置を変えられるよう、今の形に落ち着きました。
プロジェクターは使いたいのですが、下の子が動き回って倒してしまうので封印しています。3歳くらいになったら部屋を暗くしてこどもと一緒に映画を観たいなと思っています。
スペースはカーテンで区切る
玄関を入ると右手に土間、クローゼット・寝室があります。土間は現在フリースペースとして物置となっていますが、10年間に起こる小さなライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる場所。
続いて隣が寝室とクローゼット。腰壁とカーテンで囲ったベッドスペースといった印象の場所。ここはこどもたちもまだ小さく個室が必要になる時期ではないため、オープンな環境でも特に困ることはありません。
カーテンを吊るすかどうか、どのような素材を採用しているかは前編にてご紹介しています。
いわゆるベビーゲートのような柵は設置していないので、危険なものはこどもの手の届かないところに置いています。その他は、基本こどもに何でも触って欲しいというスタンスです。触れて感じる、大切だなと思っています。
扉や壁がないので、キッチンを軸とした回遊性は意識しました。こどもたちはバルコニーも含めて家の中をぐるぐる駆け回っています。そんな様子は「家族が団子になる暮らし」そのものです。
収納のないLDKは実際にどうなのか
収納をつくらないのはコスト面以外にも、ある種どんな暮らしに変化が起きるのか試してみたかったのもあります。
収納をたくさん作ればものは隠せる一方で、収納スペースに貴重な面積を取られてしまう。収納なしでどこまでいけるのか、また生活する上で絶対に必要な収納は何なのか、それを次の家に活かすためにも、この家で見極めよう、そんな実験に近い感覚でした。
ちなみに、今現在でこれがあったら便利だなと思う収納は以下のとおり。
・大きめの季節ものをしまっておける収納が欲しい(扇風機やクリスマスツリーなど)
・キッチン周りの収納量がもう少し欲しい。
・洗面所兼脱衣所にある衣類収納スペースがファミリークローゼットにつながっているとよい
次の10年にむけて
実は次の10年、こどもたちも成長し「個々の居場所を大事にする」その時に備え少しずつアクションを起こしています。
家を建てようと2年ほど近場で土地探しをしてみましたが、予算上条件に見合う土地が見つかりません。そんな中、今年の4月に理想に近い土地と出会い契約の一歩手前までいきましたが、購入には至りませんでした。
契約前夜バルコニーで次のプランについて話し合っていたところ、「このバルコニーからの素晴らしい景色とお別れになるの?」と夫婦でセンチメンタルな気分になりました。前編でもお話しましたが、立地も環境もよく、そして大切にした景観も素晴らしい、今の家には何も不満はない。欲しいのは”家”ではなく、個室だったと気がつきました。
では個室を増やすにはどうしたらいいのか。。。この開放的な空間に慣れてしまったので、例えば同じマンション内で広い部屋に移るとか、または近隣の部屋をもう1軒リノベーションしてしまうとか!妄想は止まりません。
とにもかくにもに次のステップまではじっくり考えていけそうです。
住まいを所有するとは
夫の事務所が前の事務所よりも自宅近くへと移転しました。そこが屋上付きの面白い物件で、セカンドハウス的に利用できるのでは?なんて考えてもいます。
ミニキッチンもあり眺望もいい、色々使い方ができそうでワクワクしています。
マイホームは一般的には1軒を所有し数十年かけて住んでいくものでした。もちろん、経年での変化を楽しみ、その場所での暮らしを深めていくのも趣があっていいなぁと思いつつも、同じ家に住み続けるのではなく、複数の家を所有したり手放したりしながら自由に暮らすのも楽しそうですよね。
手放しやすいマンションだからこそ可能性があるのかなとも思ったり。需要や条件次第ですが、賃貸に貸し出すなんて選択肢も持つことができます。
これからそんな選択肢を持ちつつその時々で変化していけたら楽しそうです。新たな暮らしかた?を切り開いて発信していきたいと思っています。
(おわり)
マイホームを手放す自由はどなたにも選択肢としてありますが、現実的ではなかったりしますよね。ここ数年都内では新築よりも中古マンションの流通が増えてきているほど、リノベーションに注目が集まっています。
住む地域やライフプランによりますが、kikoさんのように総じて自由に暮らすってのはひとつのスタンダードになっていくと思っています。
ムクリを通じて感じるのは、最初から無理に完成させなくてもいいですし、日々暮らしやデザインは変えていけるってところがポイントかなと思います。変えられない部分をまずはしっかり選び抜く。時間は限られますが、やはり大切ですね。
さまざまなライフプラン、思考に触れらるのはとても勉強になります。
kikoさん、貴重なお話ありがとうございました!
(編集:編集長)
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