「一枚に込められた職人の想い」無垢のテーブルから伝わるぬくもり アトリエ木馬関家具本社@福岡へ取材〜
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「造り手の顔が見たい」
家具のデザインや素材、使い心地だけではなく、その背景にある関わる人たちの想いやコダワリを伝えたいと思ったのが取材の始まりです。
三回目は、無垢の一枚板を使ったテーブルでお馴染みの「アトリエ木馬」にご協力いただき、工場に足を運び、ぬくもりあるテーブルが出来上がるまでをお届けしていきます。
第一弾「CRASH」、第二弾「RELAX FORM&シェララフィア」の紹介は下記よりご覧いただけます。
◯固定観念に囚われない、個性ある心地よい暮らしをサポート「CRASH」
◯ライフステージに応じた心地よい暮らしを提案「RELAX FORM&シェララフィア」
ご案内いただいたのは、木馬事業部の多田さんと、前田さんです。
ーー多田さん、前田さん、よろしくお願いします。
ここにあるのは、全て一枚板でできたテーブルですよね?すごい迫力です。
前田さん:
お好きなものをご覧になってください。
色合いや木目、節のありなしなど、多様な好みに合わせられるように、違ったものが並んでいます。
ーー結構大きいですよね。
これ一枚ですと6人がけ?とかになるんですか?
前田さん:
大きい天板でもカットすることが可能ですので、まずは色や形、風合いを優先して選んでいただいております。
カットした素材も捨てることなく、玄関に置ける椅子にしてみたり、小さいテーブルにしたりと、違う家具に生まれ変われます。テーブルとお揃いの家具が出来上がるのです。
一枚板の使い方は無限大で、それぞれのお客様のご要望に添えるのも特徴です。
ーーサイズはどのくらいが人気なんですか?
多田さん:
正直、地域性にもよりますね。
やはり一枚板という特徴を知ってご来場、お問い合わせをされる方が多いので、大きめの板を探されてる方も多いです。
前田さん:
サイズの流れでお伝えすると、木馬の板は裏表使うことができます。
ーーといいますと??
前田さん:
一般的なテーブルは天板と脚が釘やボルトで固定されていると思いますが、木馬の一枚板は脚の上に載せるだけでテーブルを完成させます。一枚板自体には傷をつけないので、どちらの面でもお使いいただけるのです。ちょっと実演してみますね。
こうやって「よいしょ」。
男性二人掛かりでしたら取り外すことができます。
多田さん:
一枚板と天板の間には「スペースフィット」という黒いゴムを挟んで設置しているため耐震面もしっかりしております。天板にも重みがあるため、人がぶつかった程度ではすべらないようになっておりますので、ご安心ください。
前田さん:
同じダイニング用の脚でも、パタッと倒して使っていただくとローテーブルにもなります。裏に返して使っていただきますとまた雰囲気もガラッと変わり、新しいテーブルが来たかのように楽しんでいただけます。
あとは皆様気になられると思いますが、メンテナンスのお話をさせていただきますと、傷等が気になり、お手入れが必要な場合は、工場に送っていただければ、新品同様に磨き直しをすることが可能です。長くご愛用いただけますし、一生ものの家具となります。
ーーこの板でローテーブルならお鍋とか、御節とか美味しく感じますね(笑)家族、親戚が集まるイメージが湧いてきます。
前田さん:
本当仰る通りで、「一枚板のテーブルにしたことで家族が集まるようになった」というお声をいただくこともあります。
リビングのソファや、寝室のベッドは一般的な大きさでは家族全員が座ったり、集まったりすることはできないと思います。
一方ダイニングは家族が集まる場所で、ダイニングテーブルと家族がともに年月を過ごすという意味合いでも、木馬のテーブルはピッタリだと思っています。
ーーわたしも一番コダワルならダイニングテーブルかなと思います。家族が集まりますし、一緒に育てていくとう意味合いもありますよね(yukiさん)
この脚も別売りされてるんですか?
前田さん:
脚も別売りしています。
脚の素材によっても雰囲気は結構変わりますので、天板や椅子、インテリアのバランスを考えながら、脚の組み合わせを決めていただいております。
既に一枚板のテーブルをお持ちの方も、座卓としてしか使われていない方だと、その一枚板をテーブルとして活かすために、脚のみを選びに来られる方もいらっしゃいます。もちろんそんなご要望にもお応えしております。
ーーそうやって、世界に一つだけのテーブルだからこそ受け継がれていく側面もありそうですね。
前田さん:
そうなんです。
木馬のテーブルは世界に一つだけのテーブルですので、それゆえ、木との出会いが全てと言っても過言ではありません。
お手元に届くまでに、私たちにも一枚の木材との出会いがあり、そこから様々な工程を経て、みなさまの暮らしへと辿り着きます。
ぜひ、その様子をご覧いただきたいです。
工場が隣接してますので、ご案内いたします。
ーーよろしくお願いします!
実際にご購入されたお客様が使われてる様子もInstagramでご紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください。
前田さん:
こちらは乾燥を終えた板を木取りする場所、又は乾燥を終えた板が運ばれてくる場所になります。
ーーその「乾燥」というのはどいう工程なんですか?ここに運ばれてくるまでの流れが知りたいです。
多田さん:
まず丸太の買付があります。
木馬の専門スタッフが海外など現地に直接赴き、実際に目で見て、彼らの長年の感性を元に買付てきます。
数週間海を渡ってきた丸太を、次に「製材」します。
単純に丸太を細かく切り分けるわけではなく、年輪や木材の状態を見て、一本の丸太から無駄なく最適な製材を行えるか、がポイントなんです。
この乾燥は製材後の板に桟を挟み、風通しの良い場所で保管することで、板の内部の水分を抜いていきます。乾燥期間は2年から、長いものは10年以上時間を費やします。
ーー10年!!!(一同)
多田さん:
木の水分量を観察しながら自然乾燥と人工乾燥を行い、適切な含水率になったものがこちらに運ばれてきます。
ーーこの時点ですでにかなりの労力がかかっていますね。すごい。
多田さん:
それでも、この状態ではどの家具に当て込めるか?ってわかりませんよね。
例えば、こちらの木は木表(きおもて)と言って通常テーブルの上の部分で使われます。でも、サイズとしては小さく、傾斜もあるので、裏側を使いデスク用の天板になる予定です。
そう言った、木材をどの家具のどの場所に使うか?を一つ一つ目利きでわけていきます。
ーーなるほど。。。これは機械ではできないってことですよね?
多田さん:
はい、この工程は機械ではできない部分ですので、全て職人が経験を元に振り分け作業を行っています。
続いて、この状態だと質感などわからないので、次の工場にてテーブルへと変わっていく様子を紹介していきます。
ーー広いですね!
ここでほとんどの工程が行われるわけですか?
多田さん:
この工場でほぼ全ての工程が行われています。
早速ですが、まずは高周波プレスという、さらに熱と圧力をかけて水分を飛ばす工程があります。
乾燥した板は軽く反ってますので、それを真直ぐに正すことと、あとは殺虫作用もあります。
自然乾燥の段階でほぼ虫はいなくなりますが、木中に卵があった場合は殺傷できていない可能性もあり得ますので、4トンほどの圧力と、高温で処理していきます。
ーーまだ水分ってあるのですか?
多田さん:
そうですね、この板で400gほど減りますね。少量ではありますが、ボクサーが最後の減量で絞り出す感じです(笑)
続いては研磨です。
これも段階がありますので、徐々に削っていきます。
最初は機械でしっかり削っていきます。
この後の工程はシンプルで、削る→木目の状況を見る→削る→塗装する→削る(滑らかにする)・・・を繰り返していきます。
因みに、木馬の機械は国内最大級の大きさです。そのため、自然のスケールを損なうことなく加工していけるのが特徴です。
全体が滑らかになってきたら、ここからは人の作業になっていきます。
これは節があった部分を補修しています。ここまで来ると職人技です。
ーーすごい。。。(実際も凄い!を連発していた編集部)
世界に一枚しかないテーブルはこうやって出来上がっていくんですね。
多田さん:
加工前の切り出しも含め、本当職人さんの腕に依存しているところはあります。逆に言えば、他がなかなか真似できないところでもあります。
傷や穴、節等があれば、板と同じ樹種の木の粉を使い、補修作業を行います。穴の部分に粉と接着剤を少しずつ埋め込み、余計な部分を削る。
この細かな作業を何度も何度も繰り返し、一枚板のテーブルに近づけていきます。
ーー工場には関家具の社訓が。
「触れていたくなる、ものづくりをしよう」
素敵ですね。ものづくりへの姿勢、ムクリも沢山勉強する点がありました。
多田さん:
ここまで来るとようやく木目が見えてきます。
ーーおおお!木馬のテーブルっぽくなってきましたね!
多田さん:
この木目がどうでるかがわからないのがまた一枚板の面白いところです。
勿論、私たちは経験がありますので、ある程度の木目(仕上がり)は丸太の段階で予想できますが、それでも模様まではわかりません。この過程を楽しむお客様の中にはいらっしゃいます。
例えば、こちらの板。
この木目は一万本に一本と言われるほど貴重なものです。
ある程度予想はできますが、ここまでしっかり木目が出るものに出会えるかどうかは、この段階までこないとわかりません。
ーーやはり、お高いんですか?(笑)
多田さん:
そうですね(笑)
通常のものよりは少々値段はあがります。
そして、木馬のテーブルはウレタン塗装です。この塗装を裏表それぞれ3回ずつ繰り返します。塗装し凹凸をヤスリで削り、細かい部分補修し。。。もう最終段階です。
この部屋で塗装を行っています。
一枚の板が大きいので、専用の部屋で一気に塗装していきます。
ーーあの液体で作業されてる方は何をされてるんですか?
多田さん:
あれは割れ目を補修しているのです。
ーー!!!
ほぼ割れ目見えないですよね?!
多田さん:
例え隅にある小さな割れ目でも、全て手作業で補修していきます。そのままにしておくと、そこからヒビ割れの原因になるんです。
見た目は地味かもしれませんが、木馬の一枚板テーブルを長く一生ものとして接していただくための大切な作業です。
この一連の流れは販売スタップも体験するようにしています。
どういう工程が行われるかは説明できて当たり前ですし、作り手の想いなんかも肌で感じることができます。
前田さん:
これでテーブルができる工程はお終いです。
出来上がったテーブルが保管されている倉庫に移動しましょう。
ーー(移動中)
乾燥からお客様のお手元に届くまで、ざっとどのくらいかかりますか?
多田さん:
そうですね、板も決まり全て順調にいけば数日で完成します。ただ、やはり一点ものですので、出会いが全てということもあり、なんとも言えないです。
ーーでも、あれですよね、買付からって考えると、それこそ2〜3年は最低でもかかるってことですよね。。。いや〜すごいです。
前田さん:
こちらが、すでに完成したテーブルを保管している場所です。試作品なんかもここで組み立てたりしています。
ーー値段もありますが、これはもう売値ですか?
多田さん:
売値です。
ーーなるほど。凄い金額の板もありますね!いや〜これを購入できる方も凄い(笑)※ちょっとやらしいので、金額は控えさせていただきます
ここに並んでいる中からお客様が選ばれるんですか?
前田さん:
基本的には営業マンや販売員がチェックして、お客様のご要望に応じてご提案しております。
すべてが一点ものとなるので、スタッフ全員がお客様と真摯に向き合い、そしてその瞬間を大事にし、お客様にとって最高の一枚に出会って頂けるよう、ご対応させて頂いております。
ご来店、お問い合わせのタイミングもありますが、希望を伝えたあとは、担当スタッフにこまめにやり取りされるのも出会う一つかもしれませんね。
多田さん:
世界に一枚のテーブルですので、こうやって人の手、経験を元に出来上がることがわかってもらえたら嬉しいです。
ーーとても勉強になりました。普段使う家具は大切に扱っていますが、こういった背景を知ることでより一層大切にしたいな、と思うようになります。
多田さん、前田さん、ありがとうございました!
アトリエ木馬のInstagramはこちらよりご覧いただけます。
全三回にわたり関家具さんを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
私たちの暮らしに密着する家具。
デザインや機能、そして価格に目が行きがちですが、その背景にある造り手の顔や想い、そして実際の工程。
これを知ることで、家具選びが一段と楽しくなり、また愛情も一際増すと思ってます。こういった情報をお届けしていくことはムクリの役割だと思い、続けていきたいです。
このような貴重な機会をいただきありがとうございました。
(編集部)
specialthanks
・関家具
・emiyutoさん(特別ゲスト)
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