本当に必要なモノ達と暮らす〜余白のある空間づくりが快適さを生み出す家___omalさんのおうちを探索!
- 読みもの
テーマカラーをグレー・白・ウッドに絞った空間の中に、コダワリ抜いて探したモノたちが並ぶステキなおうちにお住まいの___omalさん(以下、kana さん)。暮らしの中の余白を大切にスッキリとしたミニマルな暮らしを実現されています。
窓から眺める景色の見え方や階段など細部まで造り込まれたお家についてはもちろん、シンプルだからこそ飽きのこないずっと愛せるモノの選び方も、ぜひ注目してご覧ください。
(※記事の中での規格は建築時のものです。現在の最新の規格はメーカーの商品ページ等をご参照いただけますと幸いです。)
生活とくつろぎがうまく調和した家づくり
kanaさん
まずは我が家の自己紹介をさせてください。私達は東北在住・20代の共働きの夫婦です。夫婦ともにインドアで、家でくつろぐ時間が何よりも好きな私達が家を建てるキッカケは以下の点でした。
・アパート時代、カビや寒さに悩まされていた。
・将来は家が欲しいという夫婦の意見が一致していた。
・自分が好きなようにデザインした家に住みたかった。
・働けるうちにローンを返済したかった。
・低金利や増税前というタイミングが重なった。
以上のことをふまえつつ、今の我が家のカタチが完成しました。
シンプルさに少しのアクセントを
お家で過ごす時間が大好きなご夫婦のリビングにはシンプルな空間の中に一つ一つに選んだストーリーがあるモノ達が散りばめられています。
kanaさん
シンプルさと余白をコンセプトに家づくりをした中で、リビングのアクセントとして床材には節ありのオーク無垢材を選びました。この無垢の自然な節の模様が、リビングに色々な表情をもたらしていると思います。
小さな傷がついたとしても模様に紛れてしまい、全く目立たず、メンテナンスもあまり必要ないところも選んで良かった点でもあります。
テレビを壁掛けにし、棚などは付けずにテレビ裏のニッチに外付けHDDを置くなど、正面からはスッキリと見せる工夫をしました。Netflixを利用することで、あえてDVDデッキなども置かないようにしました。
ダイニング・キッチンにはLDKでよく使うモノをまとめて収納できるスペースを設けました。
生活感をなくすために収納には扉をつけています。ここには書類・文房具・パソコン・日用品ストック・救急箱などを収納するスペースとしています。Wi-Fiルーターやスマホの充電スポットも集約し、ごちゃごちゃするコード類は扉で隠してしまうことでリビング全体の雰囲気を邪魔しないようにしました。
設計士さんの計らいで、スイッチごとの大きさに合わせたニッチを作ってもらいました。横から見るとフラットで、前から見ると整然と収まっている姿が美しくて気に入っています。
毎日見て触れるスイッチは憧れていた神保スイッチを採用しました。シンプルさとスクエア感が好みで、家づくりを始めた当初から採用を熱望していました。
スイッチは家の中では小さな一部分ではありますが、ずっと憧れ続けていたものが日常生活の中にあるということが毎日の幸福感に繋がっています。照明はあえて全てをダウンライトにすることで、視界を遮らずにシンプルな空間を楽しめるようにしました。
厳選したモノたちと暮らす
暮らしに馴染むインテリア
kanaさん
直線的なデザインや低い背もたれ・寝ころがれる広い奥行きが気に入ったソファは、全体的な高さを抑えたので圧迫感がないのですが、収納スペース前に置くことでうまく空間を仕切る役割も果たしています。
木の脚とテイストを合わせたサイドテーブルを置くことで、無機質なリビングに少しの遊びを取り入れました。
◯ソファ:WEBO / Neil Sofa
◯サイドテーブル:duende /TRE
ダイニングテーブルは、無垢材のオークの天板とアイアンの脚で組み合わされたシンプルなデザインが気に入っています。アイアンのブラックに合わせてダイニングチェアもブラックを選びました。
もともとウィンザーチェアの佇まいが好きでした。加えて、J46はデンマークの国民チェアだと知り、ますますこの椅子に惹かれたのが決め手になりました。
◯ダイニングテーブル:CRASH GATE / シンクテーブル
◯ダイニングチェア:FDB Mobler / J46 chair
短い動線で結ばれた暮らしの空間
kanaさん
キッチン⇄洗面⇄トイレ⇄お風呂が一続きなので、とても動きやすくコンパクトな動線になっています。
閉鎖空間が好きな夫と寒がりな私といった二人なので、開放的な吹き抜けやリビング階段は採用せず、総2階建にコダワリました。この造りのおかげで結果的に暖房効率が高まり、東北の冬でもエアコン一台で過ごすことが可能になりました。
キッチンは好きなモノを凝縮して
木天井はデザインが好みだったのはもちろんですが、リビングとキッチンの空間を分けるために採用しました。グレーの壁面と、木の温かみが感じられる木天井の組み合わせが空間に奥行きを持たせてくれています。
キッチンにはモールテックスやモルタルの持つ無機質さや重厚さを取り入れたいと考えていたところ、設計士さんに提案されたのが「デコリエ」でした。
「デコリエ」はモルタルに似た風合いを表現できる左官材で、柔軟性があるため強度が高く、クラックが入りにくいとのことで採用に至りました。左官屋さんの塗った跡が残るため、クロスでは表現できない味や雰囲気がとても気に入っています。
炊飯器の蒸気に毎日当たっていますが特に汚れやクラックはなく、お手入れも簡単です。
kanaさんキッチンインテリア
・Panasonic/ラクシーナ
・パネル:CS30シリーズ/マットホワイト
・カウンター:フラット/対面フロート
・シンク:スキマレスシンク/ホワイト
・水栓:グローエ/別注
Pnasonicのラクシーナといえばリビング側のキッチン収納があるタイプが多いとは思いますが、我が家はあえて収納をなくして見た目をシンプルにすることにしました。
PanasonicならではのトリプルワイドIHは横に3つの鍋やフライパンを置く事が出来るので、同時に沢山の調理が可能となり、使いやすい点がとても気に入っています。IH前面の油はねガードのガラスをなくしてフラットにしました。
天板が木材で作られているカップボードを探しましたが、既製品で好みのものがなかった為、キッチン背面の下部分には地元の家具屋さんに造作のカップボードをお願いしました。材質はオークの集成材です。
天板には家電を置いたりできるようにしました。家電のコードは収納の中にコンセントを設置してもらうことでよりスッキリとしました。
カップボードの右側はゴミ箱を置くスペースに設計してもらいました。もともとクードのものを使うと決めていたので、3つがピッタリ収まるサイズで空間を取りました。
扉の付いた収納部分には食器・トレー・食品ストック・お菓子・お茶セット・製菓用品・水筒などを収納しています。
一方上部は収納ではなく造作の飾り棚を設け、好きな食器や小物を眺めるためのギャラリーにしたいと考えました。余白を意識しながら、その時々に飾りたいモノを楽しんでいます。
◯カップボード
・サイズ:幅2700mm×高さ850mm×奥行450mm
◯飾り棚
・サイズ :幅2370mm×奥行300mm
・カップボードと棚の間:550mm
洗面スペース
kanaさん
洗面の壁もデコリエで塗装しました。
水跳ねが多い洗面所のデコリエにはクリア塗装を施してあり、歯磨き粉の汚れが飛んで乾いてしまったとしても、濡らして拭けばすぐ綺麗になります。
グレー色を引き締めるためにも水栓は黒を使いたいと思い探してはみたのですが、検索していくうちに黒い水栓は日本ではあまり製造されていないことが判りました。諦めずに探し続けて辿り着いたのが海外サイトで取り扱っていた今の水栓です。
洗面ボウルのデザインはシームレスと最初からイメージは固まっていました。掃除がしやすくて衛生的な上に、シンプルなところも好みだった、アイカ工業のスタイリッシュカウンターを採用しました。
サンワカンパニーの三面鏡の裏には歯ブラシやコンタクト・メイク用品などを収納し、洗面ボウルし下に造作していただいた棚には無印良品のラタンカゴを並べて、ドライヤーやワックス・スプレーなど洗面周りで使うモノを収納しています。
◯洗面台
・アイカ工業:スタイリッシュカウンター
◯ミラーキャビネット
・サンワカンパニー:ステムズミラーボックス
◯水栓
・海外サイトで購入
コダワリ抜いた場所
オリジナルの階段
kanaさん
他の部屋と同様に階段にもシンプルさとオリジナリティを求めました。
私が設計士さんにお願いしたことは
・踏み板がはみ出ない
・滑り止めの溝なし
ということでした。このお願いには職人さんもとても苦労したようですが、とても綺麗に仕上げて頂き、大満足の仕上がりになりました。手すりはブラックで空間を引き締めました。
決まったスペースで管理する
我が家は土地も建物もコンパクトな為、最初からWICは考えておらず、寝室に夫と私のそれぞれにゾーニングされた2つのクローゼットを設けました。
手持ちの洋服が収まるだけの大きさのクローゼットを造ってもらい、これ以上はモノを増やさないようにすると決めてモノの適正量を管理しています。
玄関入って右手側には一面に壁面収納を造りました。
ここには靴の他に掃除用具やスタッドレスタイヤなどを収納し、三和土にモノが無い状態を保てるようにしました。
中庭のある暮らしの楽しみ方
外からは見えないプライベート空間として中庭を造っていただきました。リビングから眺められるようにしたことで、ひとつながりの空間となり開放感があります。
しかし当初設計士さんには「庭はいらない」と伝えていましたが、壁に囲まれたプライベートなものであれば、室内にいながら四季を感じることができるのではないかという提案を受けて造ってもらったところ、今では家の中で一番お気に入りの贅沢な場所となっています。
この中庭の景観を最大限に引き出すためにした工夫もあります。
リビングのメインの窓の枠が見えないようにサイドと上部の壁に角度をつけてもらいました。こうすることで壁がフレームのようになり、中庭を一枚の絵のように見せてくれます。
夫婦それぞれの寛ぎの時間を大切に
夫専用の小さな書斎も設けました。この部屋は隠れ家のショップをイメージし、趣味の洋服や靴をディスプレイしたり眺めて楽しむようにしました。
床は無垢のヘリンボーンで、職人さんに木を一本一本丁寧に組んで造っていただきました。施工会社の打ち合わせスペースの床を見た夫が気に入ったことからこちらを採用することにしました。
小さな空間ではありますが、好きなものだけをぎゅっと凝縮したこの部屋で過ごす時間は格別なのではないかと思います。
私はというと、ソファにもたれながら朝と夜の中庭の景色を眺めることが寛ぎの時間となっています。
朝は土から出てきた新芽を発見したり、大きくなってきた蕾を観察したりするのが日課になっていて、夜はライトアップされた植栽を眺めながら夜風に当たることで一日の疲れもリセットされます。
誰の目にも触れること無く自然を感じることが出来るこの場所で過ごすことが私の癒しです。
非遮光のロールスクリーンを採用したので、陽が差し込む時間はロールスクリーンを降ろすことで影を楽しむことも出来ます。
この家に住んでみて想うこと
kanaさん
実際に住んでみて感じた後悔ポイントもありました。
駐車場のコンクリートや木材の外壁はどうしても汚れやすく、自分で掃除するのが大変でした。完成時に汚れにくくなるようなコーティングを依頼しておけばよかったかなと、最近になって感じていますが、そこはお掃除を頑張ることでカバーしていきたいと思います。
家づくりは短い期間に沢山の取捨選択をしなければいけないので、後からこうしておけば良かったと感じることも多いかもしれません。
私はシンプルなデザインの家で生活する中で、考え方が少し変わっていきました。以前は収納もインテリアも足し算ばかりでしたが、今は「余白」を大切にしています。
この家で暮らすようになって、自分たちにとって本当に必要なものだけで暮らすことの快適さと心地よさを知り、その結果として時間・お金・心にゆとりが生まれたように感じています。
シンプルさと余白を大切にした空間はムダなモノは一切無いのに、どこか生活を感じさせてくれるような温かみや安らぎを感じられるのは、無機質なものと自然の木のバランスがうまく調和しているからなのかなと思います。
白×グレー×ウッドをテーマカラーに造られたLDKは一つの大きい空間ながらも、生活と寛ぎのスペースが天井や壁のカラーによってそれぞれのゾーンに分けられ、そこに置かれたインテリアや小物達はシンプルな空間だからこそ一つ一つが際立っているように見えます。
お家のシンボルにもなっている中庭は、実際に外に出て自然を楽しむことはもちろん、リビングから眺めることでご夫婦の会話が弾んだり、夜はkanaさんがほっと一息つける癒しの場所でもあります。
ご主人には趣味の書斎があったりと、ご夫婦がそれぞれに集う場所と一人で過ごす時間も大切にされている暮らし方もとても素敵だなと思いました。
kanaさん、ご協力ありがとうございました♪
kanaさんのインスタグラムはこちら
Article / 読みもの
Category
daily mukuri / アイテム
Category