【暮らしのインテリア】選択肢を広げて色々な可能性を模索した土地探し〜独自性と変化を楽しむ家づくり (kitaniwa_daichiさん)
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「暮らしのインテリア」ではすてきなお家やインテリア、整理・収納、お掃除を体現されてる方にフォーカスし、普段インスタグラムでは発信しきれない実体験をコラム形式で配信していきます。
注文住宅、マンション、アパートなどそれぞれ暮らしの中にインテリアがあり、背景には共感する点もたくさんあると思います。そんな素敵な暮らしをお届けしていきます。
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コラム執筆者のご紹介
今回より連載がスタートするのは、パッと目を惹く外観と雑木のお庭、こだわりの造作家具など随所にこだわりを感じる@kitaniwa_daichi(以下、北庭の台地)さんのお住まいです。
以前、短編コラムの今までもこれからも。ずっと大切にしたいもので執筆いただき、ぜひ家づくりについて詳しくお伺いしたいと思い、連載をお願いする運びとなりました。
初回は、土地探しや家づくりで大切にしたことを中心にお伺いしました。
それでは北庭の台地さん、よろしくお願いします。
はじめに自己紹介
はじめまして、北庭の台地と申します。
2020年の4月に完成した北向きの少し変わった家で、妻と娘2人の4人暮らしをしています。
夫婦が生まれ育った四国でゼロからスタートした家づくりは4年以上と長期にわたり、夢にも思わなかった建築家との家づくりを経て毎日楽しく過ごしています。
今回は建築家と家をつくることになった経緯や土地探しのこと、家づくりにおいて大切にしたことをお話します。
因みに「北庭の台地」は、建築家に名付けていただいた我が家の愛称です。
建築家とつくる理想の家
方向性が決まったきっかけ
夫婦共働きのため利便性を重視したことで、土地探しは想像以上に難航しました。
土地を探し始めて1年以上が経った頃、利便性はとても良いものの密集する3階建に囲まれたすごい変形地に出会いました。
そのとき気になっていた工務店に相談したうえで買付申し込みを行ったのですが、あまりに土地の条件が厳しいため本当に私たちの思い描くような家が建つのか不安で、ここで初めて建築家にもプランニングしてもらおうと思い立ったのです。
実は土地探しに苦悩して途方に暮れていたとき、一度建築家の考えも聞いてみたいと相談したことがありました。
清水の舞台から飛び降りるつもりでプランをお願いしたところ、変形地に自然に納まる胸が躍るようなプランを描いていただき、立体的で美しい外観と間取りに魅了されました。
建築家に正式に依頼しようとした矢先、売主が土地を別の人に売ってしまったことが発覚し破談に終わったのですが、信頼出来る建築家と出会い、私たちの家づくりが大きく動き始める転機となりました。
この方に頼むと心に決めてからは「どんな土地でも良い家が建つ」「むしろ癖のある土地のほうが面白い家が出来るかもしれない」と、よりアグレッシブに土地探しを楽しむことができたのです。
新たな出会いと始まり
2018年3月、当時単身赴任をしていた私は、日課となっていたネットを駆使した土地探しで今の土地を発見し、ビビッときてすぐに内見を申し込みました。
古家付きの変形地で敷地内に高低差があり、広さは150坪あるものの北側は計画道路にかかり接道は3.8mのみ…1年前なら見向きもしないような難条件の土地。
しかしながら町のシンボルである特徴的な山を北側に望む景観に一目惚れして、その日のうちに建築家にも相談したうえで購入を決めました。
今思えばよくこの土地を即決できたなと、当時の自分たちの決断力に感心します。
何はともあれ、私たちにとってある意味2度目の家づくりが始動しました。
大切にした3つのこと
家を建てるにあたり要望は山ほどありましたが、土地が決まるまでの2年間で様々なことを経験して、要望を詰め込み過ぎても無理のあるいびつなものになるような気がしていました。
建築家の「土地や環境に素直に建てる」という姿勢がとても好きだったので、大切にするポイントは以下の3つに絞りました。
1.独自性と非日常感
2.変化を楽しむ
3.周りの意見を取り入れる
ものも情報もなんでも簡単に手に入る現代だからこそ、独自性や非日常感を大切にしました。
子どもの頃、人の家を訪れるとそれぞれ特徴があってすごくわくわくしたのを覚えています。
親族が営む乾物店と土間やバルコニーで繋がった父の実家は、行事のたびに親戚が集まって大宴会。
増築で迷路みたいな母の実家はたくさんの動物がいて手作り遊具が並び、祖父がいつも日曜大工を教えてくれました。
どんな家にしたいか考えたとき、そんな懐かしい思い出がよみがえり、離れてしまった故郷の豊かさや大切さを再認識しました。
それからは、ここでしか味わえないわくわくのある家、家族にとっての故郷をつくるのだという想いで家づくりに向き合いました。
私が一番こだわったと言っても過言ではない外観は、個性的で存在感がありながら奇抜ではなくこの環境に溶け込むような家にしてほしい…という無茶ぶりに建築家が見事に応えてくれたもの。
家の中も造作が多く暮らしを豊かにする様々なアイデアが散りばめられており、そこは次回以降のコラムでご紹介していきたいと思います。
2つ目に大切にしたのは変化を楽しむということ。
どんな材料も経年により変化します。
さらには家族の成長、季節、社会環境など、家の内も外も常に変化していきます。
そういった変化に振り回されず、むしろ楽しめるような家にしたいとの願いを込めて「住めば住むほど味の出る家」を目指し、経年で劣化するのではなく味が出る素材選びやフレキシブルな間取りを重視しました。
「直射日光を入れたくない」という少し変わった要望をした我が家ですが、北側の開口や光庭から入る柔らかい光でゆっくりとした時間の流れを感じられます。
予算や管理面から庭や植栽は一切考えていませんでしたが、この場所に素直に建てた結果自然と生まれた北庭は季節の変化や子供の成長を感じられる我が家を象徴する存在となっています。
見様見真似で庭いじりを始めたのがきっかけでどっぷり植物の面白さにはまり、家の外も中もついでに職場でも緑化を進めています。
そして3つ目は、こだわりが強く頭の固い私が全部一人で決めるより周りの意見を取り入れた方が良いと考え、柔軟で視野の広い妻の要望を優先するというルールをあえて作り徹底しました。
とはいえ、無条件に妻の意見を採用するのではなく、求める暮らしやその実現方法をよく考え議論したうえで妻の納得する形をとることで、さらに良い方法が見つかることもありました。
妻が望んだのはデザインと機能性が両立した家。
そのおかげで一見住みにくそうと思われがちな我が家ですが、実はすごく快適で、特に家事のしやすさは抜群です。
間取りや素材を選ぶ際にも要所で妻に決めてもらい、もうすぐ住んで4年になる今でもお互いに全く後悔のない家になりました。
パートナーでなくても、迷ったときは設計士や友人の意見を尊重するなど、あえてこのような条件を設けることで逆に可能性が広がり、より良い家に近づける場合もあると思います。
家も暮らしも自由に
色々と情報収集をしていると「これが普通だ」とか「今はこうあるべきだ」という先入観に囚われがちですが、もっと自由に楽しむことも大切です。
私自身初めは地元工務店しか頭になく、建築家に頼むなんてお金と知識がなければ無理だと思い込んでいました。
しかしいざやってみると何とでもなるものだし、我が家の場合は建築家との出会いにより想像もつかなかった豊かな暮らしを手に入れました。
だからこそ初めから選択肢を狭めてしまうのはすごくもったいないことで、是非一度先入観を捨てて可能性を広げて欲しいと今では思うのです。
家づくりは自分自身と向き合い今後の人生を考える作業。
私は4年以上かけた家づくりの過程で自分の価値観が明確になり、家や暮らしに求めるものも大きく変化しました。
可能ならばもう一度家づくりをしたいと思えるほどその過程を楽しめましたし、今も家族が豊かに過ごせる暮らし方を日々研究し続けています。
4年の歳月をかけて完成したお家。その際に経験した様々なことがいい方向に作用し、ご夫婦が共に「後悔が全くない家づくりができた」と言えるのがとても羨ましいなと思いました。お家の愛称もとっても素敵ですよね♪
信頼できる建築家さんとの出会いで可能性が広がり、たくさんの工夫や仕組みが散りばめられた家づくり、次回コラムもとても楽しみです!北庭の台地さん、ありがとうございました♩
(編集:megu)
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