【あの人の暮らしが素敵な理由】日々の暮らしの中で心が動き、美しさに気づく瞬間をくれるもの〜民藝を楽しむ(sumirin_kurashiさん)
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【あの人の暮らしが素敵な理由】
“インスタグラムでつい憧れてしまうあの人”の暮らし方のヒントやモノ選びなど、暮らしにまつわるアレコレをご紹介いただきます。
今回は「民藝を楽しむ」をテーマに、@sumirin_kurashi(以下、haomei)さんのお話をお伺いしていきます!
「好き」を楽しむ暮らし
haomei
はじめまして。Haomeiと申します。40代で夫とふたり暮らしをしています。
今回は大好きな民藝についてお話しする機会をいただきました。深い造詣があるわけではない私が民藝を語る?という戸惑いはいったん置いて(笑)、私の「好き」を気楽にお話しできればと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
民藝とは
民藝とは、「民衆的工芸品」の略で、1920年代半ばに宗教哲学者の柳宗悦が生み出した言葉です。
名もない職人たちが作った日々の暮らしに使われる実用的な工芸品に「簡素で飾らない、健康的な美しさ」を見出しました。これはまた、民藝を語る時に外せない「用の美」という言葉になりました。
民藝との出会い
10数年前に大好きなイラストレーターの安西水丸さんが、民藝愛について語る様子をテレビや雑誌で目にする機会があり、水丸さんの優しい視点を通して描かれる愛らしい民藝品の数々に心が温かくなりました。
それが民藝と出会ったきっかけです。
初めて購入したのは、鳥取県の岩井窯の飯碗。実際に窯に出向き、作り手の山本教行さんにお話を伺いながらマイ・ファースト・民藝を手に入れたのです。
作った方の顔を見て、作られた手を見て。お話を聞いた上で器を購入したのは初めての経験で、とてもワクワクしたのを覚えています。
始めは見た目の素朴さ、素敵さに惹かれてのめり込んでいった民藝の世界。そこからは自分で調べたり、本を読んだり、配り手、作り手の方にお話を伺ったり。
民藝の視点でこの世の中を見ることで、日常のささいな瞬間にこそ美は宿ると教えてもらいました。
夫と一緒に楽しむ
民藝に夢中になる私を横目に、普段使いにそこまで拘らなくても…とあまりいい顔をしてなかった夫。ある時、お酒好きな夫の誕生日に、倉敷ガラスの小谷眞三さんの青いぐい呑みをプレゼントしてみたのです。
彼にとっては初めての民藝との出会い。ぽってり厚みがあって持ちやすく、飲み口は優しく唇に沿う。いびつにゆらめくガラスはお酒を入れることで美しさを増して。
実際に使い、一瞬にして夫もその素晴らしさを理解してくれました。お酒も一層美味しく感じるみたいです。
それを機に、毎日使うものこそ美しく、暮らしに寄り添ってくれるものを少しずつ揃えていきたいね、とふたりの共通認識ができていきました。
今では一緒に器ギャラリーで品定めをしたり、旅行先では夫の趣味である酒蔵探訪に窯元巡りが加わったり、夫婦で楽しんでいます。
我が家の民藝あれこれ
今私が住む街は民藝に繋がりが深く、恵まれたことにいつも身近に民藝があります。器だけでなく、和紙、籠、染織り、鋳物、家具など、たくさんの暮らしの友が今日も私の生活を彩ってくれています。
我が家にある民藝をいくつかご紹介いたします。
◯器
普段使いの器の一部。実際に窯元に行ったり、信頼する配り手さんから購入したりしています。この器にはどんな料理が合うかな?美味しそうに見えるかな?などと考えながら選ぶのが楽しいです。
◯倉敷ガラス
創始者の小谷眞三さんとその息子・栄次さんがつくる「倉敷ガラス」。手仕事ならではのあたたかみがあり、美しいだけでなくとても丈夫で毎日使っています。
◯倉敷いかごと瓶かご
岡山県倉敷市でつくられているい草のかご「いかご」。最初は畳のような爽やかな香り。使い込むほどに色が変化し、艶も出てきます。持ち手にレザーが巻かれたものを今年新調しました。
夫は酒屋に行く時にこの瓶かごを持参しています。
◯アイアンの燭台とラオスの竹籠
島根県出雲地方で古くから継承される鍛鉄(ロートアイアン)の燭台。熱した鉄を叩いてつくるため、同じものは一つとしてありません。ラオスの竹籠やインドの更紗と合わせて。
◯大分の土鈴人形
ポルトガルの人々をモチーフにした南蛮鈴。中に玉が入っていて、カランカランと可愛い音が。旅先では、その土地の民藝品や郷土玩具をお土産にして、自宅でも旅の余韻に浸ります。
◯倉敷ノッティング
椅子に敷くための敷物として約80年前に生まれた倉敷ノッティング。とても丈夫で、大切に使えば一生もの。憧れ続けて10年目に、わが家にきてくれました。
暮らしの中の小さな楽しみ
私にとっての民藝は、日々の暮らしの中で心が動く、美しさを発見する瞬間のようなものだと捉えています。
忙しい毎日の中で、心がささくれてしまう時もありますよね。
そんな時、丁寧に、頑丈に織られたふかふかの椅子敷に腰掛けるとふっと気持ちがゆるんだりします。
出来合いのおかずをお気に入りの器に移すだけで、後ろめたさが消え、目にも楽しい食卓に変化したり。水を飲むためにコップを手に取った瞬間、透ける光の美しさに目を奪われたり。
そんな小さな瞬間を大切に、これからも日々を積み重ねていきたいです。
民藝についてのお話、とても興味深かったです。なんとなく存在は知っていたものの朧げだった部分がhaomeiさんのコラムでよく理解できました。
ご自宅の民藝たちがそれぞれに素敵で暮らしの中に馴染んでいますよね。日々の中で心を動く瞬間をくれるという言葉にハッとし、もっと真剣にもの選びと向き合っていきたいと思いました。
(編集:kaori)
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