「毎日の食卓に彩りとご機嫌を」盛りつけるだけで美しいワンプレート Made In Tajimi 〜奇跡の土からつくられたコダワリの一枚〜
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簡単で美味しい定番ご飯や、忙しいときに頼りたくなるお気に入りのお惣菜に、ちょこっと気合いを入れてつくる献立でも、盛り付けるだけで美しく気持ちがご機嫌になる、dailyオリジナルワンプレートの登場です。
優しい下地色の上に3色の草花が彩りを添えるお皿。
お皿いっぱいに花びらをふわっと散りばめたようなデザインは、並べるだけで食卓が華やかになり、気持ちまで新鮮で前向きになる、まさにdailyにぴったりな食器です。
このワンプレートが完成するまで苦節3年と半年ほど。
はじめての食器作りで右も左もわからず、そしてデザインも定まらず。デザインが固まったかと思えば、納得のいく下地に出会えず途方に暮れること2年。
いやもう無理なんじゃないかな、と諦めかけていたときに出会ったのが、食器の街岐阜県多治見市で創業106年目を迎えた丸朝製陶所さん。
初めてのオリジナルの食器”ずっと大切に育てていきたい”そんな想いは私たちだけでなく、ご一緒した丸朝製陶所さんにも通ずるものがありました。
そこで本編では一枚のワンプレートが出来上がるまでをご紹介したいと思います。
あ、初めにお伝えしておくと専門的で少しマニアックなところもありますが、工場見学に行ったかのような気持ちでご覧いただければ嬉しいです。
“奇跡の土”をつかった食器づくり
私たちが降り立ったのは美濃焼の里、岐阜県多治見市。国内で製造される食器の50%以上をこの岐阜県が担うほどの一大産地。
その多治見でカップ&ソーサーを中心に、みなさんに身近な食器からブランドものにいたるまで生産を手がける丸朝製陶所さん。
お話を伺ったのは4代目代表の松原さん。
この地域は焼き物に必要な三大要素「土」「水」「燃料」が揃っていること。
かつて大きな湖のあったこの土地には世界でも有数な超がつくほど良質な土が採れます。また食器作りに最適とされた軟水(海外は硬水やアルカリ水が多い)が豊富にあり、加えてこれもまた焼き物に最適な高火力の赤松の樹林帯が奇跡的にも組み合わさり、うつわの産地として産業が発展していきました。
そして何よりも「土」が最高。
数億年もかけて変質・堆積された土壌に、さらに200万年かけて熟成してきた最高級の土をたっぷりと使って食器作りをしています。
あまりにも土が良すぎるため、国内の焼き物の産地でも使われることも珍しくないそうで。もちろんdailyの食器も多治見市内近辺の粘土を使用しています。
私たち素人には見分けがつきませんが、職人さんの目にかかれば、出来上がりの食器を見るだけで多治見産の土を使っているかどうかもわかってしまうそうです。
余談ですが、鉱山を掘ると食器には適さない土も取れますが主にタイルに使われているそうで、多治見はタイルの生産も全国で圧倒的に一番だそうです(山を掘っても無駄がない!)。
柔らかな素地の色味にコダワリあり
続いて工場へと足を運びます。
仕切りのない広い工場に、様々な形をした作り途中の食器が所狭しと並び、自動化された機械が稼働音をあげながらしきりに動いています。
この工場だけでも一日に数千個製造してるそうですが、ここ数年では需要も増え生産が間に合っていないとのこと。お昼前に伺ったので午前中のラストスパートへと忙しい雰囲気が印象的でした。
粘土状になった土を人と機械でお皿へと形を変えていきます。
そして松原さんが一番苦労したとこぼしていたのが下地の焼き方。下地の色合わせだけでも何回サンプルのやりとりをしたことか・・・(本当ご苦労をおかけしました)
食器の焼き方は主に「還元焼成(かんげんしょうせい)」と「酸化焼成(さんかしょうせい)」の2種類。焼き方が異なるだけで同じ土、釉薬でも出来上がりの色味や質感は全く変わってきます。
《還元焼成》
窯の中に酸素を送り込まず高温で焼き上げる方式。
粘土も呼吸をしているため、酸素を送り込まないことで土にストレスを与え余分な成分がどんどん蒸発・燃焼していきます。そうすることで硬く丈夫な食器ができあがります。
《酸化焼成》
窯の中に酸素を送り込む方式。
焼いてる途中に酸素が送り込まれるので、土も呼吸ができストレスなく柔らかな質感に仕上がるのが特徴。
ちょっと小難しいですがついてきてくださいね(笑)
還元焼成は一日に何度も食洗機にかけるような丈夫な食器、すなわちホテルやレストランで使われる食器の焼き方で、丸朝製陶所さんも9割以上がこの焼き方だそうです。
酸化焼成は色味や質感にこだわりたい時に採用する焼き方で、作家さんや北欧食器なんかもこの焼き方がメインとのこと。
私たちはレストランの食器のようなパリッとした真っ白な色味ではなく、少しオフホワイトがかった素地をだしたく酸化焼成を採用することに。
この特殊な窯で焼き上げていきますが、温度設定は全て機械。安定した素地(色味)がだせるように、何十年もの経験をもとにいくつもの焼き方が設定でき、指定した色味をムラなく焼き上げることができます。
この焼き方で何度も何度も試作品を繰り返したものの、自分たちの希望する色味に焼き上がることはなく、最終的には私たちが希望する色味を出すために一から焼き方の調整を繰り返すことに。
窯に入る酸素の量や土の素材、温度だったりと何かひとつでも変わると焼き方も変わってしまうため、daily専用の設定を生み出すのにはとても苦労をしたそうです。
なんとか希望の色味に仕上がったものの、この大きな窯で焼く際には、工場の中でそもそも割合の少ない酸化焼成に加えてdailyのプレート専用の焼き方なので、一回の窯焼きで私たちの食器しか焼けないのです。他の食器と合わせて焼くことができないので我々は順番待ちの時間もながく、大量生産ができないのです。
そんな課題は残しつつも理想の素地が完成。
焼き方で特徴をつけ加えると、丸朝製陶所さんは24時間かけて高温でじっくり焼きます。焼き上げる時間が長いほど不純物は蒸発し丈夫な食器になります。
当然窯の回転率は下がるので、多くの製陶所は数時間で終わらせたりもしている中、数十年、100年と引き継いでいける食器をつくることを大切にされてる丸朝製陶所さんは24時間焼き続けることにこだわっています。
dailyのプレートも検証機関の試験をクリアした耐久性で、食洗機も電子レンジにもご使用いただけます。
またまた余談ですが、細かな手仕事が多く昔から女性が活躍されているそうです。なんと、この機械は伺った日が最後の稼働日とのこと。そしてこの職人(安田さん)は35年この施釉機と一心同体で世界中にカップを送り出してきたそうです。概算でも7200万個ものカップを施釉されたとか!
私たちもその最後に立ち会えることに。
需要の変化もあり機械の能力が必要なくなったり、修理できる職人もいないため必然的に廃盤になるそうです。お二人の記念写真の様子をみていて、いろいろ思うところもあり少し涙ぐんでしまいました。
職人の技術が詰まった一枚
お皿の下地が焼きあがると続いての工程は模様付け。
柄物のお皿は”転写紙”というデザインを印刷したシートを貼り付けたのち、再度窯で焼き上げます。
そしてこの転写紙の貼り付け作業がなんとすべて一枚一枚手作業なんです。
ご一緒したのはカネハン陶器の柴田代表。
お湯で温めシートを程よく伸ばした上でお皿に載せていきます。
松原さんが下地づくりの際の強いこだわりを感じてくださり、この地域でもトップクラスの技術を持つ柴田さんに依頼をしてくださったそうです。
お皿のデザインを考えた際にdailyのプレートのように、模様が多く色味も交えたお皿があまり見当たらなかったのですが、それは職人さんの技術と手間暇がかかるのが理由と聞いて納得でした。
転写紙を載せたあとには丸朝製陶所の窯とはまた違った細長い窯でじっくり焼いてしあげていきます。
いくつもの工程を経てお手元に届く食器。
当店の食器だけでなく多治見でつくられた食器も同じように、多くの方々の手を介してできあがっていることを知っていただけたら嬉しいなと。
最後にもう一度dailyのお皿の特徴をおさらい。
1.多治見市近辺の良質な粘土を採用
2.酸化焼成を採用し柔らかい焼き上がりに
3.丸朝製陶所は24時間高温で焼き続けることで耐久性の高い食器になっている
4.複雑な模様の転写紙は、多治見でもトップレベルの職人さんの技術で綺麗に施工されている
右も左もわからない中、手を差し伸べていただいた丸朝製陶所さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
デザインの特徴や盛り付けの写真はまた別の記事でご紹介したいと思います。
肝心の発売予定日をお伝えし忘れておりました。
◯発売予定日:2022年3月21日(日)20時〜
dailyのInstagramでも少しずつ情報発信していきますので、ぜひチェックしてみてください。
(編集長)
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