「100年後のアンティーク家具へ」〜ウォールナットを楽しむ。新商品からメンテナンスまで〜マスターウォール本社取材(前編)
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造り手の想いやコダワリを実際に目で見て感じたことをお届けする編集部の取材シリーズ。
今回は無垢のウォールナットがインテリアを引き締め、重厚感を醸し出してくれる「マスターウォール」さんにお話を伺ってきました。
実は、私(編集長)がマスターウォールを愛用しておりまして、公私混同も甚だしい企画です。
マスターウォールの商品、難しいと感じていたウォールナットのメンテナンス、そして製造工程を二部構成にてお届けしますので、お楽しみください。
マスターウォールを運営するのはアカセ木工さん。
岡山県里圧町に本社を構え、工場や店舗も併設しています。
今回は岡山本社まで行ってまいりました!
メンバーは私(編集長)、yukiさん、kaoriさんの3名です。
岡山駅から電車に揺れること40分ほどすると里圧駅に到着します。そこから、車で10分ほど移動すると・・・アカセ木工本社へ到着です。
店舗が併設されており、当然品数もかなりの数揃っています。本記事でご紹介する工場見学も実施されていますので、関西圏でご検討されてる方はぜひ行ってみてほしいです。
店舗奥にある会議室でまずはご挨拶。
アカセ木工の沿革・歴史をお話いただいたのは常務取締役の山本さま。
実は取材の申し込みをメールした当日にお返事をいただき、そこからスケジュール調整へとスムーズにご案内いただきました(ありがとうございました!!)
ーー本日はよろしくお願いします。
私が個人的にマスターウォールが大好きでして。。。先ほど店舗を少しみただけでテンションが上がっています。
山本さん:
遠いところお越しいただきありがとうございます。当社製品をご使用いただいてるとのこと、大変嬉しく思っています。
まずは、当社の沿革を簡単に紹介させていただきます。
1961年に創業しまして、今年で創業58年目を迎えます。婚礼用の箪笥を主軸として設立され、2000年前までは箪笥から、収納家具がメインでした。
シトラスという収納家具がグッドデザイン賞を受賞したこともあります。ご興味ある方はリンク先をご覧いただければ嬉しいですが、今のテイストとは全然異なります。
それから1999年に今の原型となるウォールナットの無垢材と使った「WILDWOOD」シリーズの販売を開始しました。
ーーマスターウォールと言えばこれですね!
今では店舗も全国にある印象です。私は横浜のショールームで出会いました。
山本さん:
ありがとうございます。
今では、銀座本店からはじまり、南青山、横浜、仙台、名古屋、大阪、岡山、そしてここ里庄にショールームを構えております。また、海外にはNEW YORKに展示もしております。
山本さん:
当社は「100年後のアンティーク家具へ」というビジョンの元、完全受注生産で、一つ一つ手作りで生産し、お客様の元へお届けしております。
3年前からは椅子も独自で生産し始めました。本日は、私たちの姿勢をムクリさんを通じて知っていただけたら幸いです。
因みに、会議室のテーブルも椅子も全てマスターウォールの製品でした。このテーブルは板をつなぎ合わせた特注品で、無垢のテーブルで行う商談は雰囲気も柔らかくなりそうだな〜と感じました。
そして、店舗へと移動し、まずはマスターウォールの製品とウォールナットのメンテナンスについてお話を伺います。
本日ご紹介いただくのは、クライアントアドバイザーの森原さんです。
ーーよろしくお願いします!
(kaoriさんが手に持ってるのはレコーダーです)
森原さん:
よろしくお願いします。
私は、こちらの店舗中心にお客様への製品のご提案から、メンテナンス周りを担当しております。
店内をグルッと周りながらご案内させていただきます。
ーー私たち編集部4人は「好き」とか「可愛い」のポイントが似てるんですが、とりわけ、私とyukiさんはウォールナットが好きなんです。
目移りしてしまいます。。。本当どれも素敵です。
一番人気はやはりテーブルですか?
森原さん:
そうですね。やはりWILDWOODのテーブルが人気です。当社の製品と言えばコレ!と思い浮かべていただける方も多いです。
厚みのある無垢の天板に、しっかりしたアイアンの脚が重厚感をプラスしています。
ウォールナットの質感はしっかりと残しつつ、デザインはシンプルですので、多様なデザインの椅子にもフィットするのも特徴です。
また、オプションにはなりますがスチールレッグスのカラーも変更できたりもします。
ウッドレッグスの製品もご用意がございます。
サイズも最大幅2400mm〜1000mmまでありますので、様々なライフスタイルに応じてご提供できます。
ーーWILDWOODの紹介動画もぜひご覧ください。
テーブルのサイズ感、コーディネートのサンプルが分かりやすく説明されています。
ーーこちらの丸脚のテーブルも可愛いですね!
(写真がやや暗いのでイメージはこのような感じです)
ーーマスターウォールさんのイメージって少し男前な印象ですが、脚が丸みを帯びただけで、かなり柔らかい印象になりますね。
森原さん:
こちら2017年9月に発売された「YU>」というブランドになります。家具デザイナーの小林幹也氏とのコラボレーションになります。
仰る通り、今までのマスターウォールにはないコンセプトが加わり、新しい世界観を表現した商品になっています。
ーーどうして「YU」になったんですか?
森原さん:
「YU」の由来ですが、マスターウォールの本社はここ岡山にあります。岡山は自然が豊かでのどかな風景があり、海産物から果物までご飯も美味しく、人も穏やか。そんな岡山から受ける優しい雰囲気をイメージされたそうです。
ーー優しさがプロダクトにもしっかり反映されてますね。
椅子もまた可愛いデザイン!
この背もたれとの接続部分が、他ではあまり見ないつくりで、インテリアとしてもほどよく主張してくれそうです。
森原さん:
先ほど山本から説明がありましたが、椅子も自社で制作しています。そして、この丸みの部分の工程はかなり難易度が高いです。
後ほど工場見学の際にもご覧いただけますので、ぜひ注目して見てほしいです。
勿論、座り心地も良いですが、やはり見た目からして気になり触りたくなるデザインですよね。そして、実際触ると無垢の質感もいい!と言ってご購入されていく方が多いです。
ーーとてもわかります。
家にきた方に由来とか語りたくなりそうな特徴です(笑)
森原さん:
椅子のみならず、テーブルも細部までこだわっています。
丸みのある脚とその接着面まで柔らかいつくりになっており、普段は目につかない場所ですが、「YU」のコンセプトを最大限反映させています。
材質はウォールナットに加え、ホワイトオーク、ブラックチェリーの三種類ご用意がございます。
ホワイトオークを採用すれば、より優しくナチュラルな印象になります。
マスターウォールのイメージからはズレるかもしれませんが、基本ウォールナット以外の材質も選べますので、お客様の好みをざっくばらんにご相談いただければ嬉しいです。
ーー
ん?なにやら音がしますが。。。
ーー・・・
・・・
・・
卓球台?!
※因みに、卓球台の上に置いてあるのは現金ではなく、芸能人が来られた時に置いていかれたおもちゃです(笑)
ーー普通に卓球しちゃいましたけど、こちらも商品なんですか?
森原さん:
はい、こちらもYUブランドの「YU UA1」という商品になります。
ーー商品なんですね!
森原さん:
みなさん驚かれますが、実は当社はDJブースやギタースタンドなんかも手がけている(手がけたことがある)ので、こういった遊び心ある商品は会社として好きなところもございます。
先ほどの会議室の机もそうですが、当社の製品を通じてウォールナットの質感を日常で感じていただいたり、仕事の合間にリラックスしていただけるような、時間を楽しんでほしいという想いがあります。
ラケットもウォールナットでオリジナルです。
ーー続いて、こちらはソファですね。
(店内は広く、様々なアイテムが並んでいます)
ーーテーブルに続いて、ソファの一番人気はどちらになりますか?
森原さん:
こちらの「DANISH ソファ」が人気です。
マスターウォールの特徴として比較的座面が低いソファが多いです。こちらのDANISHも同様に、低い座面にゆったりとくつろげる設計になっています。
人気の理由は、座面に奥行きがあり、背もたれも高さがありますので、男性でも身体を包み込むようなつくりになっています。一度座ると中々立ち上がれないというお客様も多いです(笑)
加えて、サイズと生地のバリエーションが豊富なのも特徴です。
レザーですと、28種類ありまして、ファブリックですと73種類ありますので、合計で約100種類の中から選ぶことができます(※生地の取り扱い種類は変動します)。
オプションで加工もできます。
サイズや組み合わせも様々ですので、ご提案の幅は広くご要望に添える形やデザインがきっと見つかると思います。
ーー空間を広く見せるために、敢えて座面を低くするというのは一つありますよね。また、カウチ部分が移動できるので、模様替えで気分転換できたり、多様性が期待できますね。
こちらはMONOソファですね。
ーー大きさもあり、大人三人はしっかり座ることができますね。基本は妻とこども達が座ってますが(笑)とにかくレザーの見た目がかっこ良くて私は一目惚れでした。
森原さん:
ありがとうございます。
マスターウォールの中でもレザーソファとしては代表格です。
特徴はなんと言っても背面です。
当社が仕入れるウォールナットの材質で最高級の「Aランク」の部分を背もたれにたっぷり使用しています。そして、他のソファに比べウォールナット部分の露出も多いので、重厚感とラグジュアリー感がでる商品です。
そちらの商品はUNISONソファと言いまして、一番座面が低いソファです。
ほぼ寝そべるように座っていただけます。
壁に沿って設置すると、単身世帯でも圧迫感が出ません。
背もたれのクッションを外すと簡易的なベッドにもなります。ファブリックを変えながらリーズナブルにインテリアを楽しむ製品になっています。
ーー座った眺めはこのような感じです。
当たり前ですが、天井がかなり高く感じますね!
ーーこのソファは逆に高さがありますね。
森原さん:
POROソファというシリーズで、比較的座面が高いソファになります。
脚の部分が細くスタイリッシュなデザインになっています。マスターウォールの製品が圧迫感を軽減し、開放感あるリビングを提唱しています。フレーム全体がシャープなつくりですので、適度な抜け感があり重たい印象を払拭します。
MONOソファ同様に背面にウォールナットを贅沢に使っていますので、ぜひリビングの中心に置いていただき、前後左右から眺めてほしいです!
レザーもご用意があります。
また違ったテイストになりますよ。
ーー(真剣に質問、話を聞くkaoriさん)
ーー一つ質問してもいいですか?
ソファのクッション(主に背もたれ)のメンテナンスってどうしたらいいですか?
レザー部分ではなく、クッションですね。
長期的に座ってると形が変わってくると思うんですよね。
森原さん:
メンテナンスはシンプルで、クッションを揉んでください。このように、クッションを押します(結構力入れて大丈夫です)
さらに押して、
そして、角度を変え全体的に揉んでいきます。
最後に、もう一揉み。
あとは、形を整えて終わりです。
こうすることで、中のクッション材の凝固を予防する効果があります。数年何もしないと、背中からの圧力で形が変形し、そのままになってしまいます。
よくある、左右の背もたれの位置を変えたり、上下逆にするのも一つですが、半年に一回ほど、こうやってお手入れしていただくだけもで違います。
ーー私、二年ほどしてないですけど間に合いますか?(笑)
森原さん:
間に合います!
ぜひ、ご帰宅されましたらやってみてください。
ーー実は、これやってみたんですね、取材終わって帰宅してから。正直、これ効果あります!クッションに丸み(フワッとした感触)が戻ります。同時に、レザーのメンテナンスもすると、ソファが息を吹き返します。
続いては、メンテナンスの実演をお願いできますか?
森原さん:
畏まりました。
こちらで実施させていただきます。
まずは、こちらご覧ください。
シミやキズの種類とメンテナンス後を一度にご確認いただけるような板です。
シミができるまでは時間がかかりますので、本日はマジックを使用してメンテナンス講習をしたいと思います。
用意するのは、当社オリジナルのメンテナンスキットとマジックです。
まずは、マジックで落書きをします。
ーーうわ。。。
講習会とは理解しているものの、自分のうちの家具にマジックついたらめちゃ凹みますね(笑)
森原さん:
みなさん、同じようなリアクションされます(笑)
続いて、ヤスリで削ります。
メンテナンスキットの中には、240番と320番のヤスリがセットになっていますので、そちらをご使用ください。
まずは、目の荒い240番で削ります。
ここで重要なポイントは「木目に沿って削る」です。
結構削れますが、板が薄くなったり凹んだりはしませんのでご安心ください。人の力で木を1ミリ削ろうとするとかなり力が必要なんです。
また、今回は講習ということもあり、マジック部分のみ削ってますが、本来でしたら板全面を削ってください。そうしないと、一部削ると色合いにムラがでてしまいます。
軽く削るだけでマジックは消えましたね。
ーーおお〜〜〜!!!すごい!!!
森原さん:
240番ですと荒削りなので、触った感じザラザラしています。そのため、続いて320番で滑らかにしていきます。
これで削りカスをふき取ると・・・
マジックは消え、質感もかなり元に近づきました。
そして、そのあとオイルを塗っていきます。
メンテナンスキットの中には二種類のオイルが入っています。
・「K(カルデット)」
木の中に浸透し、木自体を強くする役割
・「B(ビボス)」
木の表面に膜を張り、多少の撥水効果やつやだし効果があります。
まずは「K」から塗っていきます。
しっかりオイルが染み込む感じで塗っていきます。本来でしたら、ここで3時間ほど乾燥させてください。オイルが木にじっくり染み込んでいきます。
本日は講習ですので、続いて「B」を塗ります。
これで終わりです。
どうですか?触ってみてください。
ーーうわっ!元どおりですね!!
(先ほどから稚拙なリアクションばかりでしたので、動画をご覧ください!)
森原さん:
削る場合、先ほども申し上げた通りムラなく全面やる必要があります。そのため、あまり汚れや傷がつきにくい家具(TVボード等)は「B」のみでも構いません。
ただし、あまりにメンテナンスをしていない期間が長いとうまく浸透しませんので、例えば4年以上とかお手入れされていない場合はヤスリから行った方が良い場合もございます。
ーーオイルって発火の恐れがありますよね?
森原さん:
はい、発火いたします。
そのため、オイルを塗るために使用したウエス(布)は、中性洗剤でよく洗い、水を含んだ状態で密封して破棄してください。
ーーそれ知らないと怖いですね。。。ちなみに、オイルの原材料はなんですか?
森原さん:
植物性のオイルです。
マスターウォールはウォールナットを最大限楽しんでほしい、という想いがございますので、天然塗料のオイルを推奨しております。
ーー素晴らしいです。。。
ウォールナットのメンテナンスは削ると露骨に色合いが変わるので、どうやって良いのかわからなかったです。とてもわかりやすかったです。
公式YouTubeにもメンテナンス動画掲載されてますので、併せてご覧いただければと思います。
ーー森原さん、ありがとうございました!
今回ご紹介しきれなかった、テレビボード、ベッド、ベンチ・チェア等はオンラインサイトよりご覧いただけます。
ーー続いて、木材選びから製品ができるまでの工程を、工場で取材していきます!
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