【暮らしのインテリア】夏はエアコン一台のドライ運転のみ、冬は朝夜の薪ストーブだけで心地よく暮らせる家〜素朴さの中に小さな贅沢を散りばめた21坪の平屋(hy___home21さん)
いつもムクリをご覧いただきありがとうございます。 「暮らしのインテリア」ではすてきなお家やインテリア、整理・収納、お掃除を体現されてる方にフォーカスし、普段インスタグラムでは発信しきれない実体験をコラム形式で配信していきます。 注文住宅、マンション、アパートなどそれぞれ暮らしの中にインテリアがあり、背景には共感する点も沢山あると思います。そんな素敵な暮らしをお届けしていきます。 インテリア中心のコラム・記事は一覧はこちらよりご覧いただけます。 自然の恩恵を受けて夏も冬も快適に 執筆者:yumi(@hy___home21)さん 今年も早2ヵ月を過ぎました。自分でも驚いているのですが7回目のコラムとなりました。 今まではデザインや好きなモノやコトなどのお話が多かったのですが、今回はプロとしての目線 、「パッシブ設計」や「温熱環境」にこだわった性能面のお話をさせていただきます。 これから家づくりをされる方はもちろん、リフォームやカーテン、外部シェードなどを検討されている方の参考になればうれしいです。 yumiさんの前回のコラムはこちら https://mukuri.jp/article/column/7334859/ 建物をコンパクトにする 建物をコンパクトにすると2つのメリットがあります。 1つ目はこれまでのコラムでお話ししたように、建築面積を抑えて素材や設備にコストをかけられること。 2つ目はコンパクトにすると、できるだけ少ないエネルギーで地球に優しい暮らしができること。ここで大切になってくる点がたくさんあります。 パッシブデザイン(自然の力を利用する設計技術) 「断熱・日射遮蔽・自然風利用・昼光利用・日射熱利用暖房」 家づくりを検討中、またされた方はこれらの単語を聞いた経験があるのではないでしょうか? この5つの設計手法を用いて建物の断熱や気密の性能を高めたり、太陽の光、熱、そして風といった自然本来のエネルギーを活用すると、冬は暖かくて夏は涼しい、自然光でも明るい住まいになります。 今回はここからピックアップした「断熱・日射遮蔽・日射熱利用暖房」の3つの項目についてご紹介いたします。 断熱性能の基準とは 住宅の断熱性能が高いと、より冬は暖かく夏は涼しいと感じられて、断熱性能が低いと、外気の影響を大きく受けやすくなってしまいます。 夏場に冷房を付けているのになかなか室温が下がらない、反対に冬場は暖房やストーブで部屋を暖めようとしてもいつまでも寒いということがおこりやすくなります。 わが家はUA値0.46、断熱等級6なので、しっかり断熱されていて快適な暮らしができています。 ・UA値 住宅から失われる熱量の平均値。UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能の高い住宅になります。2025年にはUA値0.87が義務化される予定です。 ・断熱等級 暖冷房にかかる一次エネルギー消費量をどれだけ削減できるかをもとに分類されており、等級が高くなるほど、住みやすく地球にやさしい住宅であることを示します。 2025年以降に、すべての住宅で断熱等性能等級4以上を満たすよう求められます。 日射遮蔽とは 太陽光を遮る工夫を取り入れることにより、夏場に室温が上がりすぎるのを防げます。わかりやすく言うと、日射遮蔽は夏のパッシブです。 いくら断熱されていても窓などから直接太陽光が入れば、室温が上がるのは防げませんが、庇やシェードを窓の外につけると太陽熱を遮ることができます。 わが家は南面に深い軒をつくるために南北方向の切妻屋根にし、西面は袖壁を伸ばした造りにしています。 この写真は8月中旬の14時半頃に撮ったものです。夏は太陽の高度が高いので、きちんと軒を出すと、このように窓の外で光を遮り、室内に熱を取り込むことなくしっかりと遮蔽してくれます。 エアコンはLDKにある14畳用一台だけを使っていて、ドライの弱運転で快適な夏を過ごせています。 日射熱利用暖房とは 冬に室内を暖かく過ごすために重要になってくるのが日射熱の利用です。日射熱利用暖房は冬のパッシブと言えます。 光を取り入れるための「窓」は、熱を取り入れるための「窓」でもあり、太陽熱で部屋の温度を上昇させられると、暖房の利用を少なくできます。 そのため南面の窓は日射取得型ガラスにするのがおススメ。例えば、晴れた日なら一般的なサイズの掃き出し窓(幅1800×高さ2000)1つから600Wの日射熱が取得できます。 これは電気ストーブやこたつと同じくらいの熱量にあたります。すごくないですか? ちなみにわが家は南面に、幅3500×高さ2400と幅1800×高さ2400の2つの窓があるので、単純に計算してもストーブやこたつ3つ分以上になります。 おかげで、冬の暖房は朝1〜2時間と夜3〜4時間ほどの薪ストーブだけで、昼間は無暖房で過ごせています。昼間は太陽光がしっかり入り、暑いくらいの日もあるほどです。 冬の太陽高度は低いので、 LDK の奥までしっかり太陽光を届けてくれます。 快適な暮らしをするために 断熱、夏の日射遮蔽、冬の日射熱利用暖房はどれが欠けても成り立たないので、これから家を建てる方は少し詳しく勉強されるといいと思います。 すでに建てられた方も条件によっては窓ガラスを交換してみたり、外部シェードを設置したりすると今よりも快適な温熱環境にできるかもしれません。 わが家はこの3つをきっちり取り入れて、さらにコンパクトな家にしたため、四季を通して自然の恩恵を受けながら本当に快適な暮らしができています。 聞き慣れない言葉がいくつも出てきましたが、読み進めていくとなるほど!と思えるわかりやすいお話でした。 yumiさんの暮らしがとても快適そうで、その上省エネにもなるなんて羨ましくなりました。にゃんことわんこも気持ち良さそうです。 yumiさん、今回もありがとうございました。 (編集:kaori) 関連するコラム 大変さ以上の喜びや癒しをくれる愛おしい存在〜9匹との暮らし(hy___home21さん) 四季を感じるキッチンダイニング。家族との会話や、人との繋がりが生まれる場所〜素朴さの中に小さな贅沢を散りばめた21坪の平屋(hy___home21さん) ムクリのコラムはこちらより一覧でご覧いただけます yumiさんのインスタグラムはこちら